社会人になってまず最初に言われることは、「あいさつと報連相をシッカリ」することです。
報連相(ホウレンソウ)は、報告・連絡・相談のことですが、誰もが就職して早々に口を酸っぱくして言われることだと思います。
割り振られた仕事を遂行する場合、一見すると一人で仕事をしているように感じられます。しかし、組織はそこに属する全員の力で動いているものであり、仕事はチームプレーと言えます。
このようにビジネスは自分ひとりで進められるものではないため人と人とのつながりが必要です。したがって、複数の人間が意志の疎通を行うこと=報連相が必要になるのです。このような結びつきにより、組織はより大きな力を生み出すことができますが、これはビジネスにとって不可欠なことなのです。
報連相は社内だけの話ではありません。社外の人々と協力しながら作り上げていく仕事では、社外のビジネスパートナーに対しても必要な範囲で報連相を実施します。
報告とは、上司からの指示や命令に対して、部下が経過や結果を知らせることをいいます。
報告するのは、部下から上司へ、あるいは後輩から先輩へ、という流れになります。
報告の目的は、自分の現状を伝えることです。過去から現在に至った経緯と結果をまとめ、現在の状況と今後の方向性、さらに自分の意志を伝えます。
報告の場合、自分の失敗やミスも包み隠さず伝えなければなりません。仕事は複数の人が協力しあって成り立っていますが、チームのリーダーは、誰が何をしていて、抜けや漏れがないかなど、チーム内の現状を把握しながら正しい方向性を見極めます。
チームの一人一人が適宜現状を報告することで、リーダーはそれを集計して現状を把握し、方向性を定め、必要な対策を講じます。そのため、メンバーの報告は非常に重要な意味を持つのです。
連絡とは、情報を関係者に知らせることをいいます。連絡には自分の意見や憶測は入りません。
また、上司や部下にかかわらず、誰もが発信側にも受信側にもなります。
総務部から全社員に向けての連絡や、チームのメンバーの一人が他のメンバーに向けた情報共有など、様々な連絡があります。
連絡の目的は、その時々で発生した事実を関係者に知らせる、または全体に周知することです。したがって、自分の意思や憶測は必要なく、事実だけを関係者に知らせます。
相談とは、判断に迷う時や意見を聞いてもらいたい時などに上司や先輩、同僚に参考意見を聞き、アドバイスをもらうことをいいます。
相談の目的は、決断できないでいる状況において、判断材料を増やすことにあります。
ビジネスでは、決断が必要とされる場面が多くありますが、経験や知識が浅いうちは、自分が持っている判断材料だけでは決断しきれないことがあります。
抜けや漏れはないか?他の可能性や手段はないか?
この決断で不測の問題が発生しないか?
誰しも決断には大きな迷いが出てくるものですが、決断できないということは何か足りない要素があるということです。そのため、その足りない要素を補うためのものが相談になるわけです。
相談を受けた側は、相手が決断するのに欠けている要素を感じ取る必要があり、それを感じ取れなければ適切なアドバイスができません。
したがって相談する側は、これまでの経緯や問題点等を整理して相談者に伝えることがポイントになります。
報連相はビジネスにとって非常に重要ですので、できるだけ効果的に行いたいものです。
組織の中でそれぞれが忙しく仕事をしている中で適切な報連相を行うために、次のようなポイントを押さえて行うと効果的です。
・報連相は「報連相をしよう」と思ったらすぐに行う
熱中して仕事に打ち込んでいると、忙しさや他の出来事に気を取られて報連相を忘れてしまうことがあります。このような失敗を防ぐため、後回しにせずすぐに行います。
・ミスや失敗など悪い情報ほど早く報告する
失敗を報告するのは誰しも嫌なことですが、すぐに報告しないとトラブルが大きくなり、会社が損害を被ったり、一人で抱え込むことで精神的にも追い詰められます。適切な報連相をすれば上司は早めに対処でき、事態が大きくなる前に収拾することにつながります。
・まずは結論から先に伝え、その後で詳細を伝える
最初に報連相のうちの何なのかを相手に伝え、まず結論を話します。その後に詳細を伝えていきます。忙しく仕事をしているので、本題が見えない話を長々とされると苛立ってしまいますので、結論から簡潔に話します。
・了承を得てから報告する
報連相する相手の都合を考え「今、よろしいでしょうか」の一言を添えてから始めます。また、複雑な内容や時間が長くかかりそうな場合は「後程〇○分ほどお時間を頂けますか」と確認するようにします。
・報連相をするための「メモ」をあらかじめ作っておく
苦手な上司の前では緊張して頭の中が真っ白になり、うまく伝えられないこともあります。報連相は確実に情報を伝えねばならないので、こういったものが役立ちます。
・必要な資料を準備しておく
複雑な案件や報告の量が多い場合などでは、後で上司が見直せるように、分かりやすく報告するための資料を添付します。
・報告時はメモを持参
報告した際、今までの指示が変更されたりする場合もあります。その時に書き留められるようメモと筆記具は必ず持参します。
・曖昧な報告をしない
内容があやふやで正確な情報が分からない場合はきちんと調査してからするようにします。ただし、緊急性がある場合は不確定でも第一報を入れておくようにします。
・最初に相談するのは直属の上司
具体的な相談は、まず、その仕事を指示、命令している直属の上司にします。他の人に相談しても即答できないことが多くあるためです。
・連絡の順番を考える
連絡内容によっては最初に直属の上司ではなく、その上の上席者に伝える方がよい場合があります。仕事の全体を見渡している上席者にとっては、タイムリーな連絡がとても有効な情報となる場合があるからです。内容によって、連絡を伝える順番を意識します。
素早くメモをとるためには、項目を絞って簡潔に書くことが必要です。
When(いつ)、Where(どこ)、Who(だれ)、What(なに)、Why(なぜ)How(どのように)、How Much(いくら)という、5W2Hの項目を意識してメモします。
ただし、メモに夢中になって下ばかり見ていると相手とのアイコンタクトの回数が少なくなり、相手の考えを引き出したり、会話の細かい部分や表情の変化等を読み取りずらくなりますので、参考になったことだけ書き記すように注意します。メモに集中しすぎて、聞いた話の内容が虫食いにならないようくれぐれも注意しましょう。
話の中で疑問に思ったこと、後で質問したいと思ったことをメモするのも効果的です。
そして、とったメモは後で必ず見返します。当然だと思うかもしれませんが、忙しいと見返すことなくお蔵入りしてしまうことは結構な頻度であります。
せっかく教えてもらった貴重な生の情報、いわば宝の山をしまっておくのはもったいないので、必ず見返しましょう。後で見返したとき何が書いてあるのか分からない、というのはよくある話ですので、最低限あとで分かる程度に丁寧な字で書くよう心がけます。
なお、電話による伝言メモでは、
「受信時刻」、「宛名」(誰への伝言か?)、「電話の相手」(会社名、部署名、お名前)、「件名」(何の件か?)、「用件」(伝言された用件、もしくは折り返しの電話が必要か等)、「受信者」(自分の名前)を書き記します。
電話の伝言メモは相手に渡す場合が多いので、丁寧な字で書きます。
書類の書き方ですが、ここでは例として報告書類について記載します。
まず、報告目的にもよりますが、内容を一言で書くような指示であれば、50字程度にまとめます。簡潔に書くような指示であれば、要旨のみ200字以内で書きます。詳細に書くような指示であれば、要旨(A4用紙1枚)+詳細内容(A4用紙2~3枚)で書きます。
ここで、報告書の形式・内容は社内で決められたものを用い、決められていなければ前例を踏襲します。もしくは上司に形式を相談して作成します。
内容は専門用語などを極力控え、分かり易く書きます。なお、相手に理解して欲しい点を「見出し」として記載し、一目で分かるようにします。
文書の構成は、はじめから順に「見出し」+「状況説明」+「主旨」+「所見」といった流れが一般的です。これも社内の形式や前例に従って書きます。
文体は「ですます調」と「である調」の混同がないようにします。特に、一気に文書を書き上げた場合には見直しが必要です。また、同じ助詞が3回以上連続(重複)すると読みにくくなります。そのような場合は文章を分割する等、構成や表現を変えます。さらに、文章のまとまりごとに適度な余白があるか、文の長さや文頭がきちんとそろっているか、など、構成・レイアウトが整っているかどうかチェックします。