これから働きたいうつ病の方へ

うつ病と仕事について

ウェルビーの疾患別就職実績

2014年の調査でうつ病の患者さんは全国で72万9千人と推計されています1)。また別の調査では16人に一人が一生のうちにうつ病を経験すると言われています2)


さらに日本の特徴として挙げられるのが諸外国と比べて中高年のうつ病患者の割合が高いことです。働き盛りの年代がうつ病になりやすい背景として社会経済的な要因があると考えられており、日本は“職場がきっかけとなりうつ病を発症しやすい国”といえるでしょう。


ウェルビーでもうつ病の治療のため退職を経験した方が再就職をめざして訓練しています。2018 年度に就職した方の2割弱がうつ病(気分障害)の診断を持っていました。
うつ病から回復する過程で再就職のヒントを探しているならば、焦りに任せず計画を立てて臨むことをお勧めします。

うつ病の症状が強いときは、休養を優先しましょう。
主治医と相談し、再就職に向けた活動ができる状態を見極めて始めることが大切です。


症状が強いときも「苦しい状態がずっと続くわけではない」ということを忘れないでください。
仕事でうつ病を発症した方、うつ病はキャリア途中のドロップアウトではありません。
もっと“あなたにあった働き方”を探すきっかけにしてください。

単独での就職活動がうまくいかない方へ

次のような思考パターンに陥って、場当たり的な苦しい就職活動をしていませんか?

うつ病の方が就活時に陥りがちな考え方

こうした思考の背景には『焦燥感』、『自己効力感低下』など、回復期に生じやすいうつ病の症状が関連しています。
思いが生じるのは自然なことですが、焦りに任せて活動したり、「受かった企業ならどこでもよい」という考えは、一時的には安心できても問題の先送りになってしまいます。

たとえばうつ病などメンタルヘルス不調による求職者の42.3%が休職制度利用中または職場復帰後に退職しているというデータがあります3)
準備不足の状態で仕事に復帰すると、以前躓いたときと同じようなきっかけで再発し、離職してしまうというケースが大変多いからです。

ポイント

就職活動成功のポイント

① 焦らず就職までのプランを立てる
② “認知のくせ”に気がついて捉え方の引き出しを広げてみる
③ 再発しにくい行動を身につける

ウェルビーでは「うつ病からの回復のための習慣を身につけること」「あなたに合った企業で働くための就職活動」を両立できます。

自分自身の“認知のくせ”や出やすい場面を知っておく

症状に飲み込まれていると感じたら、ぜひ、あなた自身の思考の特徴や病気について見極める機会を設けましょう。
主治医とあなたの症状の特徴について話をしたことはありますか? 主治医はあなたの回復度合いを見ています。あなたが症状に飲まれず、合理的な判断ができる頃合になれば見立てを教えてくれるはずです。

「復職するなら、無遅刻無欠勤で当然」
「もう私なんかが企業に受かるはずない」
あなたが当たり前だと思っていた考え方は、実はあなたの“認知のくせ”かもしれません。

たとえば「朝ねぼうする」という【出来事】ひとつとっても、人によって受け取り方がまったく違います。

「自分は社会不適合な人間だ」(自分を責める)
「起こしてくれなかった家族はひどい」(他人を責める)
「どうせ遅れるのだからコーヒーでも飲もう」(未来に目を向ける)
「どうして寝坊したんだろう」(原因に目を向ける)

なぜこのような違いが起こるのでしょうか。
人は目の前の【出来事】を“認知のくせ”というフィルターを通してとらえています。“認知のくせ”というフィルターはあなたがこれまでの人生で経験したことの影響を強く受けています。
特にうつ病の方は自責的になったり原因を考えすぎる“認知のくせ”があるといわれています。

うつ病になりやすい“認知のくせ“

全か無か思考

例)仕事で1つ失敗をしたことによって
「この会社での仕事は失敗だった」などすべてを失敗と捉えてしまう

選択的注目

例)いい出来事・悪い出来事が同じぐらいの割合であっても悪い出来事のみに注目し
「悪いことばかり起こる」と捉えてしまう

過度の一般化

例)いちど面接に落ちただけですべての会社に落ちると感じてしまい
「私を採ってくれる会社はない」などと捉えてしまう

自分への関連付け

例)問題が起きたとき、なんでも自分に関連づけてしまう
  ”悪いことが続いているのはわたしの運がないからだ”
  “チームが負けたのは自分がいたからでは“

すべき思考

例)“上司はこうであるべき”“就職前に資格くらいとるべき“など
自分で考えた基準に自分や人を当てはめて負担を感じやすい

育った環境や経験は変えられませんが、“認知のくせ”はトレーニングで修正することができます。

簡単な方法として “事実”と“あなたの考え”を分けて捉えることがあります。

またあなたの周りに客観的な視点を持った知人はいませんか? できればご家族や元勤務先“以外”の方とも話すことをお勧めします。
ひとりで計画を立てていると、あなたの育った家庭、これまで在籍していた企業の価値観がすべてだという考えに陥りがちです。社会にはあなたの知らない多様な職業・働き方があり、同じくうつ病で苦しんだ後に復職して自分らしい働き方を見つけた人もいます。
先人の情報も活用し、視野をひろげましょう。
“認知のくせ”に縛られず視野を広げることは、あなたらしい働き方を見つけるために必ず役立ちます。

“考えを変える”ことが難しい人は“行動を変える”

考え方を急激に大きく変えることは難しいといわれています。一方、比較的誰でも変えやすいのが“行動”です。
考え方のくせを変えるのが難しい方、考えすぎてしまう方は、“行動”に注目してみましょう。
たとえば以下のような行動について、抑うつを改善する効果が立証されています。

抑うつの改善
・ウォーキングなどのリズム運動
・日中に光を浴びる

明日から6:00に起床して日光を浴び、ジョギングに行くことは難しいかもしれません。
では、明日、太陽がある時間に起床して、カーテンを開けることはどうですか?
起床できない自分を責めるのではなく、カーテンを開けた自分をほめてみませんか。

また、抑うつ的になりやすい場面を避ける行動もお勧めです。

たとえばウェルビーのある利用者さんは、職員と一緒に24時間の行動記録をつけて、自分が抑うつ的になりやすい行動を振り返りました。
就寝したあと眠れず、暗闇でいろいろなことを考えてしまう
ネットサーフィンで情報を見すぎて不安になる

そして以下のような行動目標を立てて、実行することにしました。
夜中どうしても眠れないとき、一度電気をつけて起きてしまう(暗闇でいろいろなことを考えるのをやめる)
22時過ぎにはネットサーフィンをやめて本を読む(不安になりやすい行動をやめる)

これは万人に当てはまるものではありませんが、その方にとっては大きな効果がありました。
あなたも自分にあったオリジナルの行動を見つけられるよう、現在の行動を振り返ってみましょう。

ウェルビーでできること

規則正しい生活リズムを取り戻します

うつ病の方の多くが睡眠障害に悩まされており、就職活動を始めるまえに身体のリズムを職業生活に合わせて調節しなおす必要があります。
企業の障害者雇用担当者は、病気からの回復の指標として“勤務時間と同等の時間にどのような活動ができているか”を注視しています。ウェルビーでの訓練期間をしっかり活用し実績をつくることで、就職活動でのあなたの信頼度が高まります。

うつ病の回復に向けて通所を通じてサポートします

どんなときに症状が出やすくなるか、どんなことに気をつけると症状が緩和するか。面談などでしっかりと振り返り、通所訓練を通じてよりよい習慣がつけられるよう実践していきます。
あなたをよく知る主治医やデイケア、医療スタッフにもアドバイスを受けて行います。

再発しにくい環境づくりを行います

ウェルビーではあなたに合った働きやすい職場を探すお手伝いをします。さらに企業に対して、あなたが働きやすい環境を調整してもらうよう一緒に申し入れます。企業と話し合ってあなたが仕事で力を発揮しやすい環境を整えてもらいましょう。
さらに就職してウェルビーを離れたあとも、3年の長期にわたって職場を訪問してサポートする『就労定着支援事業』に登録することができます。

1)厚生労働省:患者調査(2014)
2)川上憲人ほか:こころの健康についての疫学調査に関する研究(2006)
3) 独立行政法人労働政策研究・研修機構:メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査(2012)

うつ病の就職事例

このページはウェルビーを利用して就職した多くの先輩のケースをもとに構成しています。 障害や病気の症状は同じ診断でも一人ひとり異なります。就職活動に向けて自分自身に最適な方法を探していくことが大切です。 ウェルビーでは個別アセスメントをもとに、段階にあったプログラムや支援方法を面談で相談して決定します。

うつ病・30代男性・事務職

ウェルビーに通ったきっかけ
職場での人間関係や業務のことでストレスを抱え、うつ病を発症して会社を辞めた後、しばらく病院に通院する日々を過ごしました。

心身ともに落ち着いてきたころ、主治医から就労の許可をいただき一人で障害をオープンにして就職活動をしました。幸い契約社員の仕事が決まったのですが、自分の症状に対して特に配慮されず、慣れない仕事や同僚や上司との関係がうまくいかないストレスが辛く、すぐに契約を打ち切りになりました。
今後どうすればいいか医者に相談したところ、障害者の就職活動を支援してくれる就労移行支援という福祉サービスがあることを教えていただき、ウェルビーを紹介されました。就職活動や就職後のサポートをしていただけるとのことで、通いやすいセンターが近くにあったので利用を始めました。

就職活動について
元々個人で転職活動をしていたこともあり基本となる履歴書や職務経歴書は作成していました。文章の修正などの添削や、自分の障害やブランク期間のことをどう伝えるかなどを手伝っていただきました。
また、ウェルビーからの紹介状を書いていただいたので、私の障害が安定していること、訓練期間中にどのようなことをやってきたかなどをアピールしていただき、企業に信頼を持っていただけたと思います。

ウェルビーの利用を検討している方へ
支援機関や障害福祉サービスを使わずに個人で活動をしていて仕事が決まらない方は、ぜひ利用してみると就職できると思います。また、パソコンの知識がない方や就職したことのない方もウェルビーにはいらっしゃいますが、そういう方も訓練してさまざまなスキルを身に着けて就職していきました。
センターには統合失調症や双極性障害、アスペルガー症候群などさまざまな障害(精神障害、発達障害、知的障害、身体障害)のある方、就職したことのある方ない方など、いろいろな方がいたので、誰でも利用できると思います。

最後に
自分一人で活動をすると誰にも相談できず、自分が今やっていることが本当に正しいのかわからず息詰まることもあると思います。そういう方はいろいろな支援をうまく使い、あきらめずに挑戦してほしいと思います。

うつ病・30代女性・事務職

ウェルビーに通ったきっかけ
うつ病の症状が安定して就職を目指せる状態になってきた頃、担当医師に「障害者の就労支援を行う就労移行支援サービスが受けられるところが最近開所したみたい。訪ねてみてはどうか」と勧められました。

その日の内に話を聞きに行き、企業を意識した環境と豊富なカリキュラムに魅力を感じたため、利用することに決めました。

就職活動について
通所当初は年内の就職を目指していました。ですが、受けようとしていたコンピュータサービス技能評価試験(CS検定)が12月に実施・合格発表だったため、それを取得しパソコン技能を身に着けたことを履歴書に書いて年度内に就職できるよう活動する方針に変え、個別支援計画も変更しました。
個別訓練ではパソコンや試験勉強を中心に行いました。また、日頃から就職活動に必要なカリキュラムはなるべく出席し、週5日休まず通うようにするなど、働くことの意識やモチベーションを保つようにしていました。合格発表後にすぐに就職活動をスタート。ハローワークで求人検索をし、以前の転職活動で使用した応募書類を基に新しく履歴書や職務経歴書を作成、添削をして、とりあえず1社を受けることにしました。
書類の添削や面接対策の練習は担当スタッフさんにみっちり指導していただきました。

ウェルビーの利用を検討している方へ
ウェルビーでは、就職活動に必要な知識や就業してから必要となる知識・技能を学びながら訓練できるので、実際の就活や自分が働いている姿をイメージしやすかったです。
担当スタッフの方やセンターのスタッフの皆さんは優しく親身になってアドバイスをしてくれるだけでなく、一人ひとりのペースや状況に応じて指導してくれたので、焦ったり悩んだりしたときはとても心強かったです。
私の場合、一緒に住んでいる家族の理解や協力があったので、仕事が決まらなくても焦らず無理せずにできたと思います。そのためには、働きたいという気持ちを周りの人にしっかり伝え、理解と協力をしてもらうことも大事だと思いました。

最後に
「ウェルビーに通えて良かった」の一言に尽きます。
たくさんのことを学べたし、何よりスタッフの方々が優しく懸命に指導してくださいました。転職してうつ病が再発し、仕事を辞めた頃は自分に自信を無くしていましたが、ここでの職業訓練を通して再び自信をつけることができました。また、生活リズムを整えることができ、それまでの不規則で何もしないで過ごしていた日を改めることもできました。たくさんの人とも出会い、心にもゆとりを持てるようになりました。
新しい仕事はすごく不安だけど、ため込まないよう頑張ります。約10カ月間、ありがとうございました。