
ADHD(注意欠如・多動性障害)の恋愛傾向|特徴とうまく向き合うコツは?
ADHD(注意欠如・多動性障害)のある方は、ご自身の特徴によって気になる異性やパートナーとの仲が良い状態を保ちにくく、恋愛に関して悩んでしまうことがあります。パートナーができても関係が長続きせずに、「ADHD(注意欠如・多動性障害)があると、恋愛できない」と思い込み、落ち込む方も少なくはありません。しかし、ご自身の特徴を理解し、意識して過ごすことで、より良い関係を築ける可能性が高まります。
そこで、ADHD(注意欠如・多動性障害)のある方が恋愛で感じやすい課題や悩みの具体例と解決案を紹介します。ご自身の特徴を理解し、気になる相手と楽しく恋愛したい方のご参考になれば幸いです。
-
- 特性を知ろう
発達障害とは、生まれつきの脳機能の違いに原因があることにより、周囲の人・環境とのミスマッチが生じ、生きづらさや困難を感じる障害です。障害の特徴や種類について、理解してみませんか。
まずはADHD(注意欠如・多動性障害)についておさらい
ADHD(注意欠如・多動性障害)とは、不注意・多動性・衝動性等の特徴が目立つ発達障害にあたります。
- 不注意:特定の物事に集中しにくい傾向
- 多動性:じっとしていることを苦手とする傾向
- 衝動性:思いついたまま、よく考えずに行動してしまう傾向
それぞれの特徴がどの程度強く生じるかには個性があり、人によって違います。成長するにつれて状況に応じた行動のコツを理解し、特徴が目立ちにくくなる方も珍しくありません。
特徴の生じ方や強さが人によって違うからこそ、ADHD(注意欠如・多動性障害)のある方が恋愛で感じる悩みや困りごとは、多種多様です。悩みや困りごとの程度にも個人差がありますので、ご自身の状況に応じた対処法を考えましょう。
【不安】ADHD(注意欠如・多動性障害)だと恋愛できない?
ADHD(注意欠如・多動性障害)と診断された本人は発達障害の特徴を気にして、「恋愛や結婚は難しい」「恋人とすぐに破局しないか」等の不安を感じることがあります。しかし、発達障害のある方の中にも結婚して幸せな生活を送る方は多く存在しており、工夫次第では恋愛を楽しむことが可能です。ADHD(注意欠如・多動性障害)の特徴を個性として理解し、適切にアピールできれば、恋愛で有利になるケースもあります。
今現在、恋愛の課題を抱えている方は、解決に向けた一歩としてご自身の性格や行動の特徴を正しく知ることが重要です。そのうえで一つひとつの課題に向き合えば、良い達成方法が見つかる可能性もあります。
ADHD(注意欠如・多動性障害)の恋愛|よくある5つの特徴
ADHD(注意欠如・多動性障害)のある方の恋愛では主に、以下5つの特徴が見られます。
1.恋愛にのめり込みやすい
ADHD(注意欠如・多動性障害)のある方は、脳内の神経伝達物質「ドーパミン」の分泌量を調整しにくく、日常的に不足している傾向があります。ドーパミンは、恋愛中にも分泌されて幸せや楽しさを感じさせる物質です。
ドーパミンが極端に多く分泌されたとき、ADHD(注意欠如・多動性障害)のある方は特に、恋愛にのめり込んでしまったり相手に尽くしすぎたりすることがあります。恋愛依存の状態になった場合にはさらに強い刺激を脳が求めて、ご自身を抑えられない状況になりかねません。
2.飽きっぽい・冷めやすいと誤解される
集中力が途切れやすいことや気分のムラが生じやすいことも、ADHD(注意欠如・多動性障害)の特徴の一つです。周囲の方からしてみると恋愛にのめり込みやすい人物のように思えますし、集中が切れた際のギャップが大きく、「熱しやすく冷めやすいタイプ」と勘違いされることもあります。
ただ、ADHD(注意欠如・多動性障害)のある方が本当に「熱しやすく冷めやすいタイプ」とは限りません。一途に相手のことを思い、恋愛しているケースも多くあります。
3.約束を忘れたり、守れなかったりすることがある
ADHD(注意欠如・多動性障害)の方は、計画性や注意力に関係する「前頭前野」と呼ばれる部分の機能調整に偏りがあるとも考えられています。そのため、約束を忘れる・期限を守れない等の特徴が出て、相手を怒らせてしまうこともしばしばです。
ADHD(注意欠如・多動性障害)に関する知識が不足している場合、何度も約束を忘れてしまうことに対して、「誠意がない」等と受け取られる可能性もあります。期限を守れなかった場合には、「意図的に遅れた」等の誤解を受ける可能性も否めません。
4.衝動的な言動で相手を傷付けてしまうことがある
ADHD(注意欠如・多動性障害)のある方は衝動性が影響して、相手を傷付けてしまう可能性があります。例えば、相手の話を何度も遮ったり急にイライラした態度を見せたりすると、良好な関係は築けません。
また同一生計で生活している場合、相手に無断で高価な買い物をしてしまえば、争いを招くリスクもあります。
5.対人関係の不安がトラブルにつながりやすい
ADHD(注意欠如・多動性障害)のある方の中には、子どもの頃に対人関係で失敗した経験から、自己肯定感(ご自身の価値を尊重する心)が低下している方もいます。自己肯定感の低下した状態は、アプローチを断れない・相手に依存する等のトラブルにつながりやすい傾向があり、意識的な対策が必要です。
また、ADHD(注意欠如・多動性障害)のある方は、感情を読み取ることが苦手な傾向もあります。恋愛においては相手の好意が信じられず、すれ違いを招きかねません。
ADHD(注意欠如・多動性障害)のある方が持つ、恋愛面での強みは?
ADHD(注意欠如・多動性障害)のある方が恋愛を楽しむためには、ご自身の特徴から強みになる部分を見つけ、自信を持ってパートナーと向き合うことも重要です。ADHD(注意欠如・多動性障害)のある方は一般的に以下の特徴が魅力的に取られやすく、恋愛を進めるうえで有利になる傾向にあります。
自由なアイデアや行動力があり、一緒にいて楽しい
ADHD(注意欠如・多動性障害)の多動性や衝動性は、パートナーをリードできる行動力につながります。パートナーにリードしてほしいタイプの方にとっては、ご自身の考えを素早く実行に移せるでどんどん行動できるADHD(注意欠如・多動性障害)のある方の特徴はが大きな魅力の一つです。
また、ADHD(注意欠如・多動性障害)のある方の特徴が、「独自の視点があり、おもしろい性格」等の印象を持たれるケースもあります。一緒にいて「想像を超えたアイデアに驚かされ、楽しい」と感じてくれる方もいますので、ご自身に自信を持ちましょう。
子どものような純粋さや無邪気さが魅力的
子どものような純粋さや無邪気さを持つ点も、ADHD(注意欠如・多動性障害)のある方の大きな強みにあたります。男性・女性を問わず、純粋で無邪気な方に対して「素直でかわいい」「ポジティブで魅力的な性格」等の印象を持つ方は多いためです。
ADHD(注意欠如・多動性障害)のある方の想像力やチャレンジ精神も同様に、恋愛において強みになります。衝動的もしくは唐突な発言に対して「想定外の意見をくれて、楽しい」等と感じる相手との出会いがあったとしたら、それはすてきな恋愛に発展させるチャンスです。
【困りごと別】ADHD(注意欠如・多動性障害)の方が恋愛とうまく向き合うコツ
ADHD(注意欠如・多動性障害)のある方が恋愛の失敗を回避するためには、ご自身の特徴とうまく付き合い、課題になっている部分を一つひとつ解決していく必要があります。具体的には以下のようなアイデアを試し、パートナーと良い関係を構築しましょう。

恋人とよく揉めてしまう:まずは特徴を説明する
パートナーや気になる方とよく揉めてしまう場合には、原因をまず考えましょう。課題の原因をはっきりと理解できれば気持ちが落ち着き、より良い対処法を見つけられるケースも多々あります。
揉めごとの原因がADHD(注意欠如・多動性障害)の特徴にある場合は、事情をパートナーに説明して、理解してもらうのが一案です。パートナーのADHD(注意欠如・多動性障害)に関する知識が深まりさえすれば、お互いに楽しく付き合う方法を一緒に考える中で、むしろ関係性を深められる可能性もあります。
事情をわかりやすく伝えるためには、ご自身の取扱い説明書にあたる「ナビゲーションブック」を作成して渡す方法もおすすめです。ナビゲーションブックを作成することは、ご自身で考え方や言動の特徴を見つめ直し、より良い付き合い方を考えるきっかけとしても役立ちます。
約束を忘れてしまう:リマインダーを活用する
重要な約束を忘れてしまう場合には、リマインダーアプリを活用しましょう。リマインダーアプリとは、登録した予定の前日や数日前にお知らせを表示してくれるアプリです。機械の操作が苦手な方は、毎日見る場所に付箋を貼ることで問題の解決を目指す方法もあります。
物をなくしやすい:“物の定位置”を決める
物をよくなくしてしまう場合は、事前に物の定位置を決めて管理しましょう。置き場所の写真を撮影して管理できるアプリに登録し、機械に記憶してもらう方法もおすすめです。
アクセサリーやメガネといった身に付ける物を忘れる悩みがある場合にはデートの日の持ち物リストを作成して、前日などにチェックしつつ準備しましょう。デートした日に「持っていけば良かった」と感じる物があった場合には持ち物リストを更新し、使いやすい内容へブラッシュアップするとよいでしょう。
相手を傷付けてしまった:いったん離れてみる
ADHD(注意欠如・多動性障害)のある方は、不用意な発言で相手を傷付けたり言葉の意図を十分に理解することができず、自身が傷付いたりするケースに直面することがあります。衝動的な発言を抑えられない傾向がある方は、相手の怒りや悲しみを感じた際にいったん距離を置き、落ち着いたタイミングで冷静に話す癖を付けてみましょう。
ご自身がイライラしていたりひどく落ち込んでいたりする場合も、基本的には同様です。感情をコントロールできるタイミングまで待ち、冷静にパートナーと向き合うことで、恋愛を長続きさせられる可能性も高まります。
嫌なことを嫌と言えない:何が原因なのかを考える
本当は気が進まない状況で「嫌」と言えない方は、原因に応じた対処が必要です。ご自身の感情や意見を伝えることが苦手で断り方がわからない方の場合は、「結論・理由・結論」の順番で話す癖を付けましょう。例えば、試験前日のデートを断りたい場合は以下のように伝えると、現在の状況と気持ちをわかりやすく説明できる可能性があります。
「今日は行けません。明日試験があって勉強しないといけないので、残念ですが、次の機会にしてください。」
他方、対人関係への不安が強く、相手にネガティブな印象を与えることが気になって「嫌」と言えない場合にはご自身の気持ちを大切にして、勇気を持って伝えましょう。あらかじめ断ることが苦手な事実を相手に伝えておくと、配慮してもらえる可能性もあります。
アプローチを断れない:保留とクッション言葉で対応する
ADHD(注意欠如・多動性障害)のある方には、他人の世話を焼くことが得意な方が多くいます。恋愛において、相手の頼み事を断れない・アプローチを断ることに気後れして好きではない相手と付き合うなどの難題に直面しがちです。
これらに対する解決策としては、いったん返事を保留にして頭の中を整理する方法があります。急いで決断することを避け、冷静に自分の気持ちを確認しましょう。返事を保留する際には「気持ちはうれしいですが」「できれば」「少し考える時間をください」などのクッション言葉を添えると、相手の気持ちを無下にしている印象になりません。
恋愛に依存してしまう:恋愛から適度な距離を置く
相手にのめり込む癖があり、ご自身がいっぱいいっぱいになりやすいタイプの方は恋愛からいったん離れて、周囲の方とコミュニケーションを取ったり、自分が夢中になれる趣味を楽しんでみましょう。相手以外の方とコミュニケーションを取ったり、趣味など自身が好きなことに熱中したりする時間は、ドーパミン受容体(脳内でドーパミンを受け取る部分)が増加して、ドーパミンの分泌されやすい状態を作れます。恋愛以外に幸せや楽しさを感じられる手段を持ち、適度な距離感で相手と向き合うことが、依存の状態を回避するためのコツです。
恋愛以外のことに興味を持ってみるという挑戦には、ご自身の精神的な自立を後押しできるメリットもあります。コミュニケーションを取れる相手が周囲にいない場合には、家族と話す時間を意識的に作ることも有効です。
まとめ
ADHD(注意欠如・多動性障害)のある方は恋愛で様々な課題を感じる可能性もありますが、適切に解決策を実践すれば、相手と良い関係を作れます。自身の特性が恋愛において強みになるケースもあることを理解し、自信を持って大切な方と接しましょう。
ADHD(注意欠如・多動性障害)のある方が恋愛で悩んだ際には状況に応じて、適切な解決策を考えることが重要です。当記事で紹介した内容を参考に自身に応じた対策を取って、より楽しい幸せな恋愛をしてみましょう。
関連ページ




