発達障害がある思春期の子どもの特徴や悩みは?
二次障害に注意しよう
思春期は、すべての子どもにとって心身ともに大きな変化を迎える時期です。発達障害のある子どもたちは、周囲とうまくコミュニケーションが取れなかったり、計画的に物事を進められなかったりする以外に、身だしなみを整えられない等の特徴が現れます。そのため、学校生活や友人関係で多くの課題に直面することが少なくありません。
この記事では、発達障害がある思春期の子どもたちの特徴や悩み、二次障害のタイプと予防策について分かりやすく解説します。なぜ人間関係がスムーズにいかないのかと悩みを抱えている方は、ぜひご参考にしてください。
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- 特性を知ろう
発達障害とは、生まれつきの脳機能の違いに原因があることにより、周囲の人・環境とのミスマッチが生じ、生きづらさや困難を感じる障害です。障害の特徴や種類について、理解してみませんか。
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発達障害の高校生が抱えやすい悩みやその対処法、辛くならないようリフレッシュできる過ごし方についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
発達障害がある子どもの思春期に見られる主な特徴は?
思春期は、自身について深く考えると同時に他人の目を気にする時期でもあります。発達障害のある子どもが思春期を迎えると、自身が周囲からどのように思われているのかが分からず、混乱してしまうことも少なくありません。その特徴から日常生活の様々な場面で違和感を抱き、孤立してしまうケースもあります。場合によっては、日常生活や学校生活を送ることが難しくなってしまうので、周囲の人々に理解してもらうことが大切です。
周囲との円滑なコミュニケーションが図れない
発達障害のある子どもは、集団行動や学校行事、友達との会話が苦手な傾向にあります。そのため、仲間と一緒に過ごすことが難しくなり、ひとりで過ごす時間が増えたりします。また、人から注意されることが多くなることや、相手の気持ちが理解できず喧嘩になりやすいことも特徴です。
自身の気持ちをうまく相手に伝えられないことが原因で、混乱してしまう方も少なくありません。一方的な会話や比喩や皮肉をそのまま受け止めやすいため、誤解やすれ違いが起きるケースもあります。
計画的に物事を進められない
発達障害のある子どもは、複数の物事を同時に進めことが苦手だったり、優先順位を付けることが難しく感じたりする等の特徴も多く見られます。例えば、宿題、家事、友達との約束等、同時に進めなければならない場合、どれを先にやればよいのか判断できない等、ひとりで悩みを抱えて追い詰められてしまう子どもも多いようです。これらは、忘れっぽかったり集中力が続かなかったりする特徴によるものなので、重要なことを見落とさないための工夫が必要です。
目標へ向けてゴールまでの段取りを考え、スケジュールを組んで行動することにも難しさを感じやすいため、計画を立てるときは親や周囲のフォローが必要です。親や先生に具体的なステップを示してもらい、一緒にスケジュールを組むようにすれば、少しずつ計画的に行動する力を養えます。
片付けや整理整頓がうまくできない
他のことに気を取られやすく、思い付きで行動しやすいのも発達障害のある子どもに見られやすい特徴です。そのため、片付けや整理整頓が苦手な傾向にあります。片付けを始めても最後まで集中できず、部屋が散らかった状態になりやすいのは、空間把握能力や物事に対する順位付けが苦手なことや、面倒なことを先延ばしにするくせ(回避行動)等の特徴が関係しています。
例えば、ASD(自閉スペクトラム症)の子どもは、物を規則正しく並べることは得意です。しかし、整理整頓といった面では、単に積み上げただけになっているケースが少なくありません。
物忘れや忘れ物等が多い
発達障害のある子どもたちは、頻繁に忘れ物をしてしまったり、約束や提出物の締め切りを忘れたりすることが多くあります。また、注意を持続させることや情報を正確に記憶することが苦手なので、うっかりミスも多くなります。学校の授業で必要な教材を忘れたり、家庭での約束を忘れたりすることが頻繁に起こるようになると、ストレスが溜まりやすくなるため注意が必要です。
勉強に遅れが生じるようになる
中学生になると、勉強についていけないようになり、LD(学習障害)だと発覚するケースもあります。学習障害がある子どもは、特定の教科や学習活動を困難に感じやすいのが特徴です。苦手な分野は子どもによって異なりますが、美術や音楽、体育等の実技的な教科が苦手なケースも多く見受けられます。発達障害がある子どもには、手先や体を動かすイメージがうまくつかめないことも多く、実技をともなう教科を難しいと感じるようになります。
発達障害がある子どもの思春期ならではの悩みと解決策
発達障害のある子どもたちにとって、思春期は特に多くの悩みを抱えやすい時期です。心身の急激な変化とともに、社会的な期待や学業のプレッシャーも増す中で、発達障害がある中でどのように向き合っていけばよいのかと、これまで以上の不安を感じるかもしれません。
友達の輪の中に入れない
発達障害がある子どもには、集団行動やコミュニケーションを取ることが苦手だったり、グループの会話に入れなかったりする等の特徴が現れます。特に、自身が興味を持てない話題には関心が持てないことも多いため、友達の話についていけないといった悩みを抱える子どもも多くいます。
だからと言って、このような状況で無理に友達に合わせたり、会話に参加したりする必要はありません。ご自身をよく理解してくれる少数の友達と仲良くしたり、楽しめる趣味に取り組んだりする等、ご自身がリラックスできる環境に身を置いて周囲とより良い関係をつくることが大切です。
悪気がないのに友達を不快な気持ちにさせてしまう
想像することが苦手な特徴を持つ発達障害がある場合、相手の気持ちを理解できないことが原因で、無意識に友達を傷付ける言動を取ってしまうことがあります。このようなトラブルを引き起こさないために、まず、相手が不快になる理由を無理のない範囲で考えてみましょう。相手が怒った理由を自力で特定するのが難しい場合には、親や友達等、信頼できる人に相談してサポートしてもらうことも大切です。
身だしなみを気にしない
発達障害のある子どもには、身だしなみを気にしないといった特徴もあります。周囲の人から「髪の毛がボサボサ」「服装がだらしない」と指摘されてもご自身では理解できないケースも多いため、学校でからかわれてしまったり、仲間外れにされたりする事態に陥りやすいようです。
身だしなみに関する対策は、各家庭で取り組みやすいので、親と相談して具体的にどうすればよいのかアドバイスしてもらいましょう。例えば、必要に応じて身だしなみを整えるためのルールやチェックリストを作成する等、自己管理能力を高めていく方法がおすすめです。
イライラ・落ち込むことが多い
思春期は体と心が大人になる前の段階です。この時期は、ホルモンバランスが影響して感情の起伏は激しくなります。特に発達障害のある子どもは、感情をコントロールすることが苦手な傾向にあります。突然イライラしたり落ち込んだりすることも、頻繁に起こるかもしれません。
このようなときは、可能な範囲でイライラや落ち込みの原因を特定してみましょう。ひとりで過ごす時間を大切にしたり、好きなことをしたりする等、気持ちをリセットする方法が見つかれば、感情をコントロールしやすくなります。
恋愛や性に関するトラブル
思春期になると、恋愛や性に対して興味を持つ子どもが増えます。発達障害がある子どもの場合、そのような興味から女性の体を凝視してしまったり、異性に付きまとったり、場合によっては騙されて性トラブルに巻き込まれてしまうこと等もあるため注意が必要です。性に対する興味がありながら、性的な行動の意味を理解できないことが原因となるケースもありますが、親や学校にサポートしてもらい、性に関する正しい知識や身を守る方法を身に付けておくようにしましょう。
特に、異性への付きまといは迷惑行為に発展する可能性もあります。衝動的な行動をなくすための代替案として、相手の気持ちを確認したり、写真を持ち歩いたりすることで付きまとい行為へ発展するのを抑えるのも1つの方法です。
発達障害がある思春期の子どもとの付き合い方
思春期を迎えると、発達障害の有無に関係なく反抗期が訪れますが、過剰に怒りっぽくなって周囲に強く当たったり、挑発を繰り返したりする反抗挑戦性障害(反抗挑発症)に発展する場合もあります。
この時期、親の言動によっては、子どもの心身に影響を及ぼす可能性もあるため注意が必要です。子どもが感情を抑えられなくなる前に、いつも味方でいることや近くで見守っていることを伝えておきましょう。親が過保護や過干渉にならないよう十分に注意しながら、適度な距離感を保つように意識することで、子どものストレスを軽減できます。
発達障害がある思春期の子どもは二次障害に注意
発達障害のある思春期の子どもは、成長過程で様々な困難に直面します。特に思春期は、心身ともに大きく変化する時期です。発達障害がある子どもにとっては、さらに複雑な問題を引き起こす可能性があります。思春期に適切なサポートが受けられなかった場合には、重大な二次障害(併存症)を発症するリスクが高くなるため、この時期は特に注意しましょう。
二次障害(併存症)ってなに?
ASD(自閉スペクトラム症)やLD(学習障害)、ADHD(注意欠如・多動症)等の発達障害がある子どもが、思春期に適切なサポートを受けられないまま過ごしてしまうと、二次障害を発症するリスクがあります。二次障害とは、もともとの発達障害に加えて、精神疾患の合併や社会生活が困難になる問題行動を指します。
思春期には人間関係が複雑化したり、勉強でつまずいたりすることが増え、成功体験を得る機会は少なくなりがちです。これらが日常生活を送るうえでのストレスにつながると、やがて自己肯定感が低下して二次障害が発生しやすくなります。
二次障害で見られる主な症状は?
二次障害は、内在化障害と外在化障害といった2つのタイプに分かれます。
【内在化障害】
- うつ病
- 適応障害
- 不安障害
- 自己否定感
【外在化障害】
- 暴力
- 暴言
- 感情不安定
- 自傷行為
内在化障害には、感情や精神状態が内向きに影響を与えるもので、うつ病や適応障害等が含まれます。内在化障害の場合、心の中に抱えた苦しみやストレスが表に出にくいため、周囲が気付きにくいケースも少なくありません。
一方、外在化障害は、感情や行動が外向きに影響を与えます。暴力や暴言、感情の不安定さ、自傷行為等が見られます。これらの行動は周囲に対しても影響を及ぼしやすいので、家庭や学校でも見て分かる状態になることが特徴です。
二次障害が発生すると、日常生活や社会生活でさらに困難が増すことも考えられます。早めの段階で相談し、適切なサポートを受けることが二次障害のリスク軽減につながります。
発達障害がある思春期の子どもが二次障害を予防するには?
発達障害のある思春期の子どもたちは、心身ともに大きな変化を経験する中で、様々な困難に直面します。この時期に適切なサポートを受けることは、二次障害が発生するリスクを抑えるためにも欠かせません。
規則正しい生活リズム・習慣を心がける
うつ病等の精神疾患は、生活リズムが乱れていると発症しやすくなります。規則正しい生活リズムを身に付けることは非常に重要です。毎日一定の睡眠時間を確保し、バランスの取れた食事を摂ることは、心身の健康を維持することにつながります。規則正しい生活リズムは、体内時計を整える効果が期待できるため、精神的な安定感を得やすくなります。
適度に休んでストレスを溜め込まないようにする
発達障害のある子どもは、その特徴から無意識のうちに作業に集中しすぎたり、物事に対して真面目に取り組んだりする傾向があります。その結果、ストレスを溜め込みやすくなり、二次障害を引き起こすリスクが高くなります。適度に休むことは、ストレスの蓄積を防ぐために欠かせません。休憩時間を計画的に取り入れるなど、気持ちがリラックスする方法を見つけるようにしましょう。
自己肯定感を高める努力をする
発達障害のある子どもは自己肯定感が低い特徴もあり、それがストレスの原因になってしまうケースもあります。自己肯定感を高めるために、小さな達成感を得られる活動を増やし、成功体験を積み重ねていくことも大切です。心理療法やトレーニング等、専門家によるサポートを受けながら自己肯定感を高めていく等の方法もあります。
まとめ
発達障害がある思春期の子どもは、コミュニケーションや計画性等で多くの困難を抱えやすくなっています。これらの困難は、友人関係や学業に悪影響を及ぼし、さらには自己肯定感の低下につながることも少なくありません。特に、適切な支援やサポートがない場合には、うつ病や適応障害等の二次障害を引き起こすリスクが高まります。
規則正しい生活リズムを保つことやストレスを溜め込まないよう適度に休むことも必要です。自己肯定感を高めることは二次障害の予防につながります。ひとりで悩みを抱え込まずに、早めの段階で周囲の信頼できる人たちに相談してみましょう。
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