
発達障害かも?と思ったら|特徴やセルフチェックについて紹介
「自分は発達障害かも?」と思っていても、すぐに病院へ診断を受けに行くことにためらう方が多いのではないでしょうか。しかし、発達障害であるかどうかにかかわらず、何か悩みや違和感があるなら、その状態をそのままにしておかないほうがよいでしょう。
そこで本記事では、発達障害の特徴やセルフチェックの方法を簡単に紹介します。ご自身が発達障害に当てはまるかどうか、そして病院を受診するかどうかの判断材料の一つとして、ぜひ参考にしてください。
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- 特性を知ろう
発達障害とは、生まれつきの脳機能の違いに原因があることにより、周囲の人・環境とのミスマッチが生じ、生きづらさや困難を感じる障害です。障害の特徴や種類について、理解してみませんか。
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- 自分で調べる
あなたが抱える生きづらさはあなたのせいでなく、脳の特性によるものかもしれません。
その傾向を知るために、まずはチェックリストを試してみませんか。
特徴が当てはまり「発達障害かも」と思ったら?
「自分は発達障害かも」と疑問に思ったとき、どのように行動すればいいのでしょうか。ここでは、自分が発達障害かどうか判断する方法やその際の心がけを解説します。
自分で発達障害だと決めつけるのはNG
最初に押さえておきたいのは、たとえ自分に発達障害の特徴が当てはまるとしても、自己診断で発達障害だと決めつけないことです。発達障害の特徴は、誰にでも少しは見られるものです。人とまったく違う特徴があるというより、「特定の特徴が強く出ている」と考えるとわかりやすいかもしれません。
例えば、LD(学習障害)の中には「読み書きが非常に苦手」というものが含まれますが、発達障害ではなくても当てはまる方はいます。また、発達障害の一種であるADHD(注意欠如・多動性障害)には、「忘れっぽい」という特徴がありますが、発達障害ではなくても忘れっぽい人は少なくありません。
実際、当てはまる特徴があったとしても、発達障害ではないケースは珍しくありません。場合によっては、精神疾患やその他の病気が原因で困難が生じていることもあります。そのため、「発達障害かも」と思っても、自分で決めつけるのは避けましょう。専門医の正確な診断を受けて、ご自身の状態を正しく知ることで、どのような対策が必要なのかを知り、今の悩みや不安を改善できる可能性があります。
発達障害かもと思うときのセルフチェックリスト
発達障害の特徴に当てはまるかどうか確認するために、まずは以下のようなセルフチェックリストを試してみる方法があります。
セルフチェック| ”自分らしく”を探す学生向け情報サイト ウェルビーキャンパス
ウェルビーキャンパス内にて提供しているセルフチェックリストでは、「ASD(自閉スペクトラム症)」と「ADHD(注意欠如・多動性障害)」に加えて、「抑うつ症状」のチェックが可能です。こうしたセルフチェックリストを使うことで、自分が感じている問題や不安が発達障害によるものかどうかの手がかりを得られます。発達障害ではないとしても、自分がどのような特徴を持っているか客観的に振り返ることで、その後の日常生活で行動を工夫しやすくなります。
ただし先述のとおり、セルフチェックリストで当てはまる場合でも、すぐに発達障害だと決めつけないことが大切です。セルフチェックを通して「発達障害かも」という思いが強まったなら、むしろそれをクリニックや専門機関に相談するきっかけにしましょう。
発達障害かどうか確かめるには専門家への相談が必要
「発達障害かも」と自身で疑いを持っているなら、やはり専門の相談窓口や医療機関に相談してみるのがおすすめです。発達障害と似た症状の病気もあるため、発達障害かどうか確かめるには専門家の意見が欠かせません。
これまで日常生活の中で何らかの困難や違和感を抱えているなら、早めにその原因を知ることで、適切な対応策を講じやすくなります。学校へ適切な配慮や支援を求める際にも、専門家による正式な診断を受けていたほうが説得しやすいはずです。ご自身の状態を正確に把握したうえで、行動の仕方を工夫したり、周囲から支援を受けたりすることで、家や学校などの日常生活を過ごしやすくなることが期待できます。
発達障害って具体的にはどんな障害のこと?
ところで、発達障害とは具体的にどのような障害を指すのでしょうか。
簡単に言うと、発達障害とは、生まれつきの脳の機能の違いが原因で、物ごとのとらえ方や行動等にある種の特性を持つ障害を言います。この特性によって、周囲とのコミュニケーションがうまくいかなかったり、学校生活や家での日常生活の中で支障をきたすことがあります。
発達障害の種類は大別すると、「ASD(自閉スペクトラム症)」、「LD(学習障害)」、「ADHD(注意欠如・多動性障害)」の3つです。どのタイプに該当するかによって、その特徴や対策には違いがあります。

ASD(自閉スペクトラム症)
ASD(自閉スペクトラム症)には、コミュニケーションが苦手であることや、物事に対する強いこだわりといった特性があります。主な特徴としては、以下のような点が挙げられます。
- あいまいな表現が理解しづらい
- 人との距離感が掴みづらい
- 強いこだわりがある
- 臨機応変な行動が苦手
- 感覚が過敏(音や光が気になりやすい等)、または感じにくい
これらの特徴に見受けられるように、ASD(自閉スペクトラム症)の方は、あいまいな言葉や感覚を理解するのに困難や抵抗感を感じることが多く、特定の習慣やパターンにしたがって行動するのを好む傾向があります。最初に挙げた「コミュニケーションがうまくいかない」という点も、これらの特徴に関係している可能性があります。
LD(学習障害)
LD(学習障害)は、基本的な知的発達には問題がないものの、「読む」「書く」「計算する」など特定の分野の学習が苦手という特徴があります。LD(学習障害)には主に、「読字障害」「書字障害」「算数障害」の3つがあります。
- 読字障害:文章を読むのが極端に遅い、読み間違えやすい、行を飛ばして読んでしまう等
- 書字障害:メモが取れない、カタカナがわからなくなる、文字を書き写すのが極端に遅い等
- 算数障害:簡単な計算ができない、九九を覚えられない、時計を読むのに時間がかかる等
これらの特徴は、本人の勉強不足や努力不足と誤解されやすいですが、実際には脳の特徴によるものです。周囲から適切な理解や支援を受けられないことが原因で、自分に自信が持てなくなったり、抑うつ症状が出たりしてしまうこともあります。
ADHD(注意欠如・多動性障害)
ADHD(注意欠如・多動性障害)の特徴は、「不注意」と「多動性(または衝動性)」の2種類に分けることが可能です。
- 不注意:気が散りやすい、忘れっぽい、最後まで集中できない等
- 多動性・衝動性:じっとしていられない、黙っていられない、考える前に行動してしまう等
ADHD(注意欠如・多動性障害)も、性格的な問題だと周囲から誤解を受けがちです。社会生活を送るのに支障をきたしてしまうこともあります。ただし、自分の特徴について理解を深めて工夫することで、不得意な状況にも適切に対応することは可能です。
発達障害の症状による悩みごとへの対処法
発達障害のある方は日常生活で様々な困難を抱えていることが多いですが、以下のように適切な対処法を実行することで、その悩みを和らげることができます。
周囲のサポートを受ける
第一に重要なのは、家族をはじめとする周囲のサポートを受けることです。身近で暮らす家族から生活上の苦手な部分をサポートしてもらうことで、多くのトラブルやストレスを避けられる可能性があります。例えば、忘れっぽい特徴がある場合には、こまめに家族に確認してもらうのが有効です。
また、家族から学校に伝えてもらい、必要な配慮や支援を受けられるようにすることも一つの方法です。各市区役所・町村役場の福祉課や相談窓口、あるいは発達障害者支援センター等の機関でも、相談に乗ってもらえます。
自分の特徴を把握する
病院や相談機関等のカウンセリングを活用して、自分の特徴を把握することも重要です。自分の特徴を正確に知ることで、どのような場面で困りやすいのか認識し、対策が取りやすくなります。悩みごとが完全になくならないとしても、問題が減ったり小さくなったりして生活しやすくなるでしょう。
また、自分の特徴を長所として生かせるようにもなります。例えば、ASD(自閉スペクトラム症)には、強いこだわりがあるという一面がありますが、それを生かして得意分野を伸ばすことも可能です。ADHD(注意欠如・多動性障害)には発想力に優れているという一面があり、クリエイティブな活動に向いているかもしれません。自信を持てる分野や活動があると、生活に楽しみが増えてくるでしょう。
ツールを活用する
様々なツールを活用することでも、発達障害によって生じる生活上の困難を和らげることが可能です。例えば、忘れっぽいと感じる場合には、スマートフォンやタブレットのリマインダーやカレンダー機能が役立ちます。文字の読み書きが困難な場合には、動画や画像で学習したり、音声メモを取ったりすると便利です。書字障害の方はパソコンやスマートフォンでの文字入力を覚えれば、文字を書く代わりに打てばよくなります。
さらに、聴覚過敏で集中できない場合には、イヤーマフや耳栓を使用することで、対処できることもあります。このように、自分の特徴にあわせてツールを活用することで、様々な困難を緩和することが可能です。
医療機関で相談して薬物療法を受ける
多動性や衝動性が特に強く、攻撃的な行動を取ってしまうことがある場合には、薬物療法が効果的な場合もあります。薬物療法を受けるためには、医療機関に相談して自分に適した薬を処方してもらう必要があるので、専門家の診断をしっかり受けることは重要です。
ただし、発達障害の対応においては、薬物療法を開始するより先に、まず生活環境の整理を行うことが求められます。薬を処方しなくても、生活環境を整えることでイライラ感やパニックを引き起こす原因を減らし、症状が和らぐ場合は多いです。そのため、まずは環境を整え、そのうえで必要に応じて専門医に相談して薬物療法を取り入れることもひとつの方法です。
まとめ
「発達障害かも」と思ったら、まずはどれくらい発達障害の特徴を当てはまるかセルフチェックをしてみましょう。そのうえで、発達障害の可能性が高いと思う場合は、医療機関等を受診し、正式な診断を受けるのがおすすめです。自分の状態を正確に把握すれば、適切な工夫をしたり、支援を受けたりして、生活上の困難を減らせる可能性があります。
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