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発達障害があると一人暮らしは大変?失敗しないためのポイントや支援窓口を紹介

発達障害があると一人暮らしは大変?
失敗しないためのポイントや支援窓口を紹介

発達障害がある方にとって、一人暮らしは新たな挑戦です。生活の中で起こりがちな「物の管理が難しい」「先延ばしの癖がある」「家事がうまくできない」といった困りごとに直面することも少なくありません。しかし、自身の特徴をよく理解すれば工夫次第でこれらの課題を乗り越えることができるはずです。

この記事では、一人暮らしを成功させるためのポイントや発達障害の方が相談できる支援窓口を詳しく紹介します。一人暮らしへの不安を少しでも軽くするために、新しい生活の準備としてできることを一緒に考えてみましょう。

発達障害があると一人暮らしは大変?

発達障害がある方の中には、「一人暮らしはできないのではないか」と不安を感じる方もいるかもしれません。しかし、苦手なことがあったとしても、工夫次第で一人暮らしは可能です。発達障害の特徴に合わせた方法を取り入れることで、生活の中の困りごとが軽減できます。 例えば、家事を事前に練習し、どのくらいの時間や体力が必要かを事前に把握しておくとスムーズに進められます。

大学進学や就職を機に一人暮らしを考える方は、準備段階での工夫がカギとなります。ご自身に合う支援も活用すれば、失敗への不安を乗り越えられるのではないでしょうか。一歩踏み出すための方法を知って、前向きに考えましょう。

発達障害のある方が一人暮らしで注意したい困りごと

一人暮らしをはじめる際、発達障害がある方は以下のような特有の困りごとに直面する場合があります。しかし、事前に課題を把握し対策を考えることで、安心して生活をはじめることが可能です。

 

  • 日常生活:ゴミ出しやルール遵守、片付けが苦手な場合がある
  • 生活習慣:生活リズムの乱れや健康管理が課題になることがある
  • 金銭管理:支出の把握が難しく、無駄遣いやトラブルに注意が必要

これらのようなの困りごとには、適切な対策や支援機関を活用することで対応できます。

生活での困りごと

発達障害のある方が日常生活をしていくうえで起きやすい困りごととしては、ルールやマナー、先延ばし癖が関わることが多く見られます。
まず、ゴミ出しや騒音等のルールやマナーを守ることが難しい、期限のある手続きや支払いを後回しにしてしまう、といった困りごとです。そのために、周囲の人とトラブルになることがあるかもしれません。期日まで支払わなかったために、延滞料金が発生したり、使用を止められてしまう、といったことが生じることもあります。

また洗濯物をためてしまい、着る服がなくなる、片付けが苦手で部屋が散らかる、物をなくしやすい、ため込んだゴミから悪臭が発生するといった状況も見られます。

周囲の人とうまくやっていくため、またご自身が快適に生活できるようにするために、対処する必要があるでしょう。

生活習慣や健康管理での困りごと

発達障害がある方は、生活習慣や健康管理においても課題を感じることが多くあります。

例えば、ゲームやSNSに夢中になるあまり、生活リズムが乱れてしまうことが挙げられます。睡眠不足が続くと体調を崩しやすくなりますし、疲れをため込んで心身に負担をかけるケースも少なくありません。

食事の管理も重要な課題の一つです。一人暮らしでは、料理が面倒に感じる日もあり、ついコンビニ弁当やカップ麺で済ませることがあるかもしれません。さらにはお菓子だけしか食べない、といったことさえありえます。たまになら大きな問題にはならないかもしれませんが、これが続くと栄養バランスが偏り、健康を損ねるリスクが高まります。

さらに、医療機関を訪れるのに抵抗がある、薬を飲み忘れる、といった傾向がある方もいます。定期的な診察や薬の服用が必要なのにそうできないことで、健康に影響が出る可能性があります。

金銭管理での困りごと

発達障害がある方は、金銭管理に苦労するケースも少なくありません。

一人暮らしをはじめると、家賃や光熱費、食費といった生活費をやりくりする必要がありますが、どれくらいの金額が必要なのか把握しづらいものもあるでしょう。その結果、必要な支払いが遅れたり、支払うときになってからお金が不足していることに気付いたり、といったことが起こりえます。

さらに、衝動買いや無駄遣いをしてしまう傾向がある方もいます。特定の趣味や興味に関連するものに夢中になるあまり、計画を立てずにお金を使ってしまい、後悔するかもしれません。また、訪問販売や通販の勧誘を断り切れず、不要なものを購入してしまうこともあるため、お金の使い方に注意が必要です。

発達障害のある方が一人暮らしで失敗しないためのポイント

発達障害がある方にとって、一人暮らしは自由な生活を楽しむ大きなチャンスです。しかしその一方で、過集中や感覚過敏、片付けの苦手さ、金銭管理の難しさといった課題が浮き彫りになる場面もあります。これらの問題を解消し、快適な生活を送るためには、ご自身の特徴に合った工夫や周囲のサポートを取り入れることが欠かせません。

前段で紹介した「注意したい困りごと」を踏まえつつ、ここではそれらを克服するための具体的な解決策例をご紹介します。

発達障害のある方が一人暮らしで失敗しないためのポイント

生活での困りごとにおけるポイント・解決策

発達障害がある方が一人暮らしで生活上の困りごとを減らすには、日々の行動や管理をサポートするツールや仕組みを取り入れることが有効です。例えば、スマートフォンのアプリを活用することで、スケジュールやタスクを効率的に管理できます。Googleカレンダーやスケジュールアプリのリマインダー機能を使えば、支払いや手続きの期限を忘れにくくなります。さらに、重要な予定や期限は家族や信頼できる友人と共有しておくと、より安心感が得られるでしょう。

片付けが苦手な場合や、つい掃除を先延ばしにしてしまう癖がある場合は、生活環境を工夫することも効果的です。例えば、よく使う物は目につく場所に置く、使う場所の近くに定位置を決めるといった方法で整理整頓の負担を減らせます。また、物を増やし過ぎず、透明のケース等見えやすいものに収納するようにすると、片づけやすくなります。

なくしやすいものや貴重品、外出時によく使うものにはスマートタグを付けておくことも有効です。例として、家や自転車の鍵、財布、ICカードを入れたパスケース、いつも持ち歩くバッグ等が挙げられます。

生活習慣や健康管理でのポイント・解決策

発達障害がある方が生活習慣を整えるためには、生活リズムを崩さない工夫が大切です。例えば、ゲーム機やスマートフォンを夜遅くまで使用してしまう場合は、ゲーム機を実家にあずけるか時間を決めて別室に置くようにするほか、夜間のスマートフォン利用を制限するといった対策が有効です。

毎日食事を作るのが負担に感じるのであれば、宅配弁当やスーパーの総菜を活用して栄養面でバランスのとれた食事ができるように工夫をしましょう。

また、強い光や騒音に対してストレスを感じやすい方は、外出時にはイヤーマフやノイズキャンセリングイヤホンを使って刺激を軽減するのもひとつの方法です。

疲れた日は無理せず休養を取ることで、心身をリフレッシュできます。調子が悪いときには医師やカウンセラーへの相談を心がけ、無理のない生活を維持しましょう。

金銭管理でのポイント・解決策

金銭管理は一人暮らしを支える重要な要素です。衝動買いを防ぐためには、クレジットカードの使用を控え、デビットカードやプリペイドカードを活用すると効果的です。デビットカードは銀行口座から即時引き落としされ、残高の範囲内でしか使用できないのが特徴です。使用限度額を設定すると、さらに使い過ぎを防げます。プリペイドカードは、事前にチャージした金額内でしか使えないため、計画的な支出が可能です。

金銭管理をスムーズに行うためには、収入や支出をリスト化して予算を立てる方法がおすすめです。家賃や光熱費等の固定費を先に計算し、自由に使えるお金の上限を明確にすることで、無駄遣いを防げます。家計簿アプリを使う等して、金銭管理を習慣化することが重要です。

なお、月々の予算を立てる際、ASD(自閉スペクトラム症)傾向が強い方は費目を明確に分ける方法、ADHD(注意欠如・多動性障害)傾向が強い方は大まかなカテゴリで分ける方法がおすすめです。ご自身に合った方法で金銭管理を行い、安心した生活を送れるよう心がけましょう。

発達障害のある方が一人暮らしで困ったときの支援窓口

発達障害がある方が一人暮らしをする際、生活の中で困りごとが発生することもあります。そのようなときに頼りになるのが、様々な支援窓口です。困ったときに適切なサポートを受けることで、より安心して生活を続けられます。

 

  • 発達障害者支援センター:発達障害がある方とその家族の生活課題についての相談・支援
  • 障害者就業・生活支援センター:仕事に関する相談・支援
  • 消費者ホットライン:消費生活のトラブルについての相談
  • 日常生活自立支援:日常生活の中で必要な手続きの代行や金銭管理サービス
  • 居宅介護:掃除や料理など家事のサポート

以下に、主な支援窓口とその内容を紹介します。

  • 全国の支援機関一覧

    適切に公共の相談窓口や支援機関を利用する・頼ることで、悩みや困りごとが解決する一歩になるかもしれません。ひとりで考え込まず、誰かに相談してみませんか?

発達障害者支援センター

発達障害者支援センターは、発達障害がある方やその家族が地域で安心して生活を送るための支援を行う機関です。運営しているのは、都道府県、または都道府県知事が指定した社会福祉法人や特定非営利活動法人等です。

地域ごとに支援内容は異なりますが、相談対応、情報提供、生活課題の解決を目指したプログラムの提供等が一般的です。また、必要に応じて専門機関や行政と連携し、適切な支援をつなぐ役割も担っています。

初めて利用する方や支援内容を詳しく知りたい方は、最寄りの発達障害者支援センターに問い合わせることをおすすめします。個々の状況に合わせた具体的なアドバイスを受けられるため、困りごとが生じた際の頼りになる窓口です。

出典:発達障害者支援センター・一覧|国立障害者リハビリテーションセンター

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは、就業(働くこと)やそれにともなう日常生活の支援が必要な方に向けて、幅広いサポートを提供する機関です。主な業務として、仕事に関する相談や、仕事に影響を及ぼす日常生活の課題に対するアドバイスを行っています。また、必要に応じて訪問支援も行い、個々の状況に合わせた具体的な支援を提供しています。

日常生活の自己管理や地域生活に関するアドバイスも受けられるため、働きたいと思っている方や、生活全般で困りごとがある方にとって大きな助けとなる窓口です。相談を希望する際は、地域ごとに設置されているセンターに直接問い合わせると、より詳しい情報やサポートを受けることができます。

出典:厚生労働省|令和6年度障害者就業・生活支援センター一覧

消費者ホットライン

消費者ホットラインは、消費者庁が運営する相談窓口です。「悪徳商法の被害にあった」「強引な勧誘を受けて困っている」「架空請求の通知が届いた」等、消費生活に関する幅広いトラブルについて相談が可能です。これにより、一人暮らしをしている方が巻き込まれやすい金銭トラブルや契約上の問題に対応できます。

全国どこからでも「188(いやや)」に電話するだけで、最寄りの相談窓口につながり、具体的なアドバイスを受けられる仕組みが整っています。問題の早期解決を目指し、困ったときは気軽に利用してみてください。

出典:消費者庁|消費者ホットライン

日常生活自立支援

日常生活自立支援は、障害のある方が地域で安心して自立した生活を送れるようサポートする制度です。この支援では、日常生活の中で必要なアドバイスや手続きの代行等を行っています。例えば、公共料金の支払い管理や福祉サービスの利用手続きの補助等、生活の基盤を整えるための支援が受けられます。

訪問支援の利用には費用がかかり、1回あたり平均1,200円程度です。詳細や利用申し込みについては、お住まいの市区町村にある社会福祉協議会で相談を受け付けています。必要なサポートを受けながら、自立した生活を目指すことが可能です。

出典:厚生労働省|日常生活自立支援事業

居宅介護

家事が難しい場合、居宅介護を利用できる場合があります。このサービスでは、料理、掃除、洗濯、買い物等、日常的な家事をサポートしてもらえます。生活に必要な基本的な作業を補助してもらうことで、より自立した生活を維持できるようになります。

居宅介護を利用したい場合は、お住まいの地域の各市区役所・町村役場の福祉課で相談し、障害支援区分の認定を受ける必要があります。支援を受けるための手続きや条件については、事前に詳細を確認してから相談し、申し込むようにしましょう。

出典:厚生労働省|障害福祉サービスの概要

まとめ

発達障害のある方が一人暮らしをする際、生活全般において様々な困りごとが生じやすいですが、それらを克服するためには工夫と周りからのサポートが重要です。自身の特徴をよく理解したうえで、必要な工夫を取り入れるようにしましょう。過集中や感覚過敏、金銭管理の難しさに対して、日常生活や健康管理、金銭管理のポイントを意識することで、より快適で自立した生活を実現できます。

また、困ったときに頼れる支援窓口として、発達障害者支援センターや障害者就業・生活支援センターなどが存在します。ご自身に合った支援を活用し、困りごとを一つひとつ解決しながら、充実した生活を目指しましょう。

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