発達障害で友達がいないときはどうする?
主な原因や友達を作るための解決策
発達障害、またはグレーゾーンの高校生によくある悩みは「友達がいない・友達が離れていく」点です。
しかし、ご自身の特徴に合わせて工夫や練習をすれば、友達作りや友達付き合いをしやすくなるはずです。この記事では、発達障害のある学生に向け、友達の作り方を具体的に紹介します。
また、発達障害のある学生は「勉強ができない・勉強しない」ことでも悩みがちです。そこで、発達障害の特徴別に、勉強が苦手になる・勉強をしなくなる理由や、その解決方法を紹介します。
高校生になると、これまでとは違う悩みが生じます。この記事の内容を、ぜひ高校生活に役立ててください。
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発達障害の高校生が抱えやすい悩みやその対処法、日常を過ごしやすくするためにリフレッシュできる過ごし方についてもご紹介いたします。
発達障害がある高校生のよくある悩みは?
発達障害のある高校生がよく悩むのが「友達がいない」ことです。また、友達ができても離れていくことがあり、なぜなのかわからないまま悩み続ける方もいます。
しかし、友達作り・友達付き合いに関する悩みは、ご自身の特徴から対策を考え実行することで、解決できるかもしれません。
友達がいない・離れていく
友達がいない・友達が離れていく理由としては、以下のようなことが考えられます。
- 友達が冗談や皮肉として言ったことを言葉どおりに受け止め、落ち込む
- 自身の言った言葉で、悪気はないのに相手を傷つけてしまった
- 自身が興味のあることを延々と話してしまい、友達が話せなくなる
- 友達の会話をさえぎって話し出すことがある
発達障害の方は会話のテンポや方向性が異なることがあるため、友達の作りにくさで悩む方は少なくありません。
また「周りの雰囲気に合わせるのが難しい」「暗黙のルールがわからない」等の特徴からも周囲となじめず、いじめの対象になってしまうこともあります。その結果、学校へ行きにくくなり、不登校になるケースも見られます。
勉強についていけない・勉強をしない
中学生や高校生になってから勉強についていけなくなる・勉強をしなくなるのもよくある悩みです。原因は、発達障害の種類によって異なります。
例えば、ASD(自閉スペクトラム症)では、授業の流れに見通しが付かないことや、いつ発言をするか等のルールがわからないことで不安や混乱を感じやすいのが原因です。
LD(学習障害)/SLD(限局性学習症)では、「図形の問題がわからない」「文章を読むのが難しい」等、特定の科目が苦手となる問題があります。
ADHD(注意欠如・多動性障害)では、課題に取り組めない・授業に集中しにくい等が関係しています。
進学・就職に不安がある
発達障害があるため、大学等への進学や就職に不安を持つ高校生も多くいます。
大学等の高等教育機関に進学すると、授業や講義に対して自主的な姿勢が求められるからです。
自主的な姿勢とは、例えば以下のようなことです。
- 参加する授業や講義を自身で決める
- 自身で提出物を出す
- わからない点は教員に質問する
- きちんと授業や講義に出席する
- 遅刻をしない
発達障害のある人の中には「自分でスケジュール管理ができるか」「学生や教員と人間関係を築けるか」等を不安に感じる人も少なくありません。
その結果、充実したキャンパスライフを過ごせないのでは、と考えてしまいます。
大学等では、学生同士で人間関係を築けないと、授業や講義に関する情報が得られなくて困ることがあります。
また、スケジュール管理が苦手だと「授業や講義に出席できるか」「単位が取得できるか」「進級や卒業ができるか」といった点が不安要素です。
就職では「就職できるか」「就職できても仕事ができるか・就職先での人間関係がうまくいくか」等の不安を抱えやすい傾向があります。
【発達障害の特徴別】友達がいないときの主な原因
発達障害がある方は、友達がいない原因に、ご自身の特徴が関係している場合があります。
ASD(自閉スペクトラム症)の場合
ASD(自閉スペクトラム症)がある方は、発達障害の中でも特に友達を作りにくいことが多くあります。コミュニケーションを取ることが苦手で、集団でいるよりも一人でいるのが好きだったり、友達と話が合わなかったりすることが多いためです。
ASD(自閉スペクトラム症)の方は、ご自身が興味のあることについてはよく話せます。しかし、ときには相手に対し一方的に話してしまうことがあるため、友達が困って離れていくのかもしれません。
また、こだわりが強くルールをしっかり守ることから、友達がルールを守らなかったときに強く注意してしまう等、真面目なために友達とうまくいかなくなることもあります。
相手の気持ちを読み取ることが苦手なため「太ったね」「成績下がったね」等、友達が気にしていることを率直に言ってしまうこともあります。
LD(学習障害)/SLD(限局性学習症)の場合
LD(学習障害)/SLD(限局性学習障害)のある方は、知能に問題はありません。しかし、話す・聞く・読む・書く・計算等、学習の一部に苦手な項目が生じがちです。
LD(学習障害)/SLD(限局性学習障害)がある場合、勉強が苦手なため、勉強の話題では友達と話が合わず、会話をする機会が減るかもしれません。
また、話を聞いて理解をしたり、頭の中で話を組み立てたりすることが苦手な特徴がある場合、会話のすれ違いが起こることもあります。
ADHD(注意欠如・多動性障害)の場合
ADHD(注意欠如・多動性障害)を持ちつつ、活動的で友達が多い方もいます。
しかし、ADHD(注意欠如・多動性障害)の特徴による言動で友達とトラブルになり、友達が離れていくこともあります。
例えば「思ったことをそのまま口にする」「周りを確認する前に自身のしたい行動をする」「約束を忘れる」「借りたものをなくす」等です。
発達障害の学生が友達と仲良くなるためのヒント
発達障害があるからといって、友達ができないわけではありません。工夫次第で、友達が作れて仲良くなれることがあります。
会話の練習をする
会話の練習をして、会話で起こる食い違いを減らしていくことで、友達付き合いが良くなる可能性があります。
会話の練習相手には家族等の仲の良い人を頼り、会話のテーマは共通の話題やご自身の好きなものを選んでみましょう。
練習中は、相手のしぐさや態度等、相手の気持ちが表れる部分を確認することが大切です。
また、練習中は、以下の内容に気を付けてください。
- 年齢に合っている言葉遣いか
- 学校・アルバイト先等、会話する場所に合っている言葉遣いか
- 話がそれていないか
- 相手の話も聞けているか
練習相手からアドバイスをもらいながら、友達と楽しく会話できるよう練習をしてみましょう。
質問や助けを求める努力をする
発達障害の方は「自分の気持ちがわからない」「気持ちを言葉にするのが苦手」といった場合もあります。そのため、わからないことや困ったことがあっても、質問をしたり助けを求めたりすることが苦手になりがちです。
ご自身から同級生や先生に質問したり助けを求めたりすることで、相手との接点が生まれます。そして、質問に答えてもらったり、助けてもらったりしたことをきっかけとして、人付き合いが生まれる可能性があります。
また、他の人から助けを求められたとき、どう対応するかシミュレーションもしておくと、会話をしやすくなるのでさらに効果的です。
身だしなみに気を使う
発達障害の方は、身だしなみをあまり気にしない傾向があります。理由は、特徴別に異なります。
ASD(自閉スペクトラム症)は、自身の見た目が他の人に与えるイメージがわきにくい特徴があります。
また、身だしなみは、何をどこまですればいいのか、はっきりしたルール・基準がありません。そのため、曖昧でわかりにくいと感じ、身だしなみを苦手とする方もいます。
さらには、身だしなみに興味がなく、身だしなみに気を使う習慣がない方もいます。
ADHD(注意欠如・多動性障害)の場合、細かい部分に注意が行かないため、服にシワやシミがないか、袖や裾が長すぎたり短すぎたりしないか等に気を付ける必要があります。
また、計画を立てて実行するのが苦手な場合、シワがあると困るシャツ等の服でも、クリーニングやアイロンをしていない状態で着ることがあります。
思春期にある中・高校生は、身だしなみに気を使う傾向がありますので、気を付けましょう。
身だしなみを習慣づけるには、髪の毛や爪を定期的に切ることをルーティン化する、服にシワや汚れがないか毎回確認する等の工夫があります。
ルールやマナーをあらためて身に付ける
発達障害の方は、遊びや社会等のルールが理解しにくい傾向にあります。そのため、悪気がなくともルールやマナーに反してしまうことがあります。そうすると、印象が良くないと受け取られ、友達が離れていく可能性があるため、注意しましょう。
あらためて一般的なルール・マナーについて学び、守れるようにする工夫が必要です。
友達同士や社会での「暗黙のルール」は、家族等から教わりましょう。例えば、家族で駅に行き、電車の乗り方や電車内での過ごし方を教わる等です。
また、制服の着方や髪型等の身だしなみについても、シャツがズボンやスカートから出ないように気を付ける他、髪の整え方の手順等を具体的に教わりましょう。
高校でも、大学入試や就職の面接のために、身だしなみ・マナー・言葉遣いを教わる機会があれば、活かすことが大事です。
【発達障害の特徴別】勉強をしない主な原因と解決策
勉強しなくなることには原因があります。発達障害の特徴によって異なりますので、ご自身の特徴に合った方法で対策しましょう。
ASD(自閉スペクトラム症)の場合
ASD(自閉スペクトラム症)の方は、興味が限定されるため、関心のない科目には学習意欲がわきにくい傾向にあります。また、複数のことを同時に行うのが苦手で、先生の話を聞きながらノートを取るのに苦労する方もいます。
予測が付かないことや臨機応変さが求められる事態にも苦手意識や不安感を抱きやすく、授業には工夫が必要です。授業前から授業終了までを細かくタスク化し、授業の流れや、今どこまで進んだかをご自身で確認できるようにしましょう。
その他、自宅での勉強でも工夫が必要です。勉強する時間や休憩時間等のスケジュールを決め、ルーティン化すると安心感を持ちながら勉強しやすくなります。例えば「20時から22時まで、50分勉強+10分休憩を2セットやる」等です。
加えて、「今日は○ページまでやる」「単語を○個勉強する」等、具体的に目標を決めると、見通しが付くため安定した勉強が進められます。
LD(学習障害)/SLD(限局性学習症)の場合
LD(学習障害)/SLD(限局性学習症)の方は、苦手な科目に対して自信が持てず、苦手意識が強くなって勉強できなくなることがあります。
LD(学習障害)/SLD(限局性学習症)の勉強には、計算や読み書き等をサポートするツールを活用するのがおすすめです。例えば、電卓・タブレット・テキストの読み上げツール等です。ツールを活用することで苦手意識が薄れ、勉強に取り組みやすくなります。
また、LD(学習障害)/SLD(限局性学習症)の方は、自信を付けられるようにするのがポイントです。自宅での勉強でも、ご自身の特徴に合った教材・教具を使い、学習内容を細かく分けて、達成感を何度も味わえるようにしましょう。加えて、学習の進み具合を目で確認できるように、グラフ等で表すことでも達成感が得られ、自信に繋がります。
ADHD(注意欠如・多動性障害)の場合
ADHD(注意欠如・多動性障害)の方は、集中力が長く続きにくいため、長時間の勉強を苦手とする傾向にあります。また、計画的に進めるのが苦手なことから、宿題やテストに向けた計画を立てて勉強するのが難しい面もあります。
集中力や注意力が長く続きにくいと、色々なことに興味が移りがちです。そこで、宿題や勉強科目が複数あっても、まずは一つの課題に取り組み、終わったら次の課題に取り組むようにしましょう。
勉強に関係ないものが視界に入ると気が散りやすいため、勉強に必要なものだけ机に置くことが大切です。教室やご自身の部屋も、気が散ったり興味が移ったりしないよう、環境を整える必要があります。
集中力が続きにくいといっても、10分や20分等、勉強を短時間で区切ると取り組みやすくなります。区切りごとの課題をクリアし、それを繰り返していくと達成感を得られ、やる気も続きやすくなります。
発達障害の高校生が大学進学後、豊かな大学生活を過ごすには?
発達障害の方が、安心して勉強できて楽しく豊かな学生生活を送りやすくするためには、障害学生支援に取り組む大学を選ぶのがポイントです。
大学等に通う障害のある学生が増えたことで、大学では、障害のある学生の受け入れや、勉強や履修登録のサポート等の支援が求められるようになってきました。
障害学生支援に取り組む大学へ通えば、ご自身の特徴に合ったサポートが期待できます。障害学生支援の取り組みや支援内容は、大学のホームページに掲載されています。
障害学生支援のページでは、発達障害の支援が手厚いか、支援の具体例をご確認ください。大学によっては、入学前に支援の内容について相談できます。ホームページでわからないことは、大学に直接問い合わせをして知っておければ安心です。
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中学・高校・大学の各ステージにおける進学や就職に関する選択肢を症状別に紹介するとともに、困ったときの相談先となる各種機関についても解説します。
まとめ
発達障害のある高校生によくある悩みとして、「友達がいない・友達が離れていく」ことが挙げられます。
友達作りに関しては会話の練習をしたり、ルールやマナーをあらためて学んだりすることで事態が好転することがあります。
学習に関する悩みは、ご自身の特徴を踏まえた勉強の仕方を取り入れ、支援が受けられる進学先等を検討し、必要なサポートを受けつつ、進めていけると安心です。
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