
LD(学習障害)がある方に向いている仕事とは|求人を探すときのポイントを紹介
学習障害のある若者が「自分は果たして立派に働けるのだろうか」と、漠然と将来に不安を抱くことは珍しくありません。しかし、学習障害があっても自分の得意なこと、苦手なことを理解し、周囲のサポートを上手に活用すれば、働きやすい仕事に就ける可能性は高くなります。
この記事では、就職活動中の学習障害のある学生等に向けて、学習障害のある方が向いている仕事や仕事の探し方のポイントをご紹介します。ご自身の学習障害の特性がどのような仕事に向いているかを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
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LD(学習障害)とは?どのような特徴がある?
学習障害の内容や程度は、一人ひとり異なります。まずは学習障害の主な特徴や原因等について理解を深めましょう。
学習障害の主な特徴
学習障害とは、知的発達に遅れはないものの「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」といった基礎的能力に困難が生じる発達障害の一種です。例えば、国語の「読み書き」や算数の「計算」の理解や能力取得が極端に苦手な状態を言います。ただし、苦手な分野以外のことは問題なくこなせるのが学習障害の特徴です。よくある学習障害としては、以下の3つのタイプが挙げられます。
- 1.読字障害(ディスレクシア):文字を読むことが苦手
- 2.書字障害(ディスグラフィア):文字や文章を書くことが苦手
- 3.算数障害(ディスカリキュリア):数字や記号の認識が苦手
なお、人によっては複数の学習障害があるケースもあります。また、学習障害は目で見て判断できる障害でないため、幼少期には気付かず、成長するにつれ気付くケースが少なくありません。
学習障害になる原因
学習障害になる原因は、今のところ特定されていません。文部科学省でも学習障害の原因を「中枢神経系に何らかの機能障害があると推定される」と見解しているものの、やはり直接的な原因は不明です。
学習障害は治療で治せるの?
学習障害をはじめとする発達障害は病気ではなく、ある種の特性を持つ障害です。そのため、投薬で治るなどの治療法はありません。
一般的に学習障害は療育で対応します。療育とは、障害や発達の程度に応じて、困りごとを解決したり、支援したりすることです。例えば、文章を読むのが苦手であればパソコンの読み上げ機能を利用したり、計算するのが難しければ電卓を使ったりして、将来に向けて自立して生活できるように支援をします。
このように学習障害では、苦手なものを無理に克服しようとはせず、生活する上で困難に感じることに対して、苦手意識をなくすことに重きを置いています。したがって、苦手な分野を避ける・軽減するといった視点でのアプローチも有効です。
LD(学習障害)だと仕事にどのような影響があるの?
学習障害のある方が実際、仕事に就いたときにどのような影響があるでしょうか。一般的な仕事では、以下のような影響があると考えられます。
- メールやマニュアル等を読んで理解するのが難しい場合がある
- 文章の作成に困難が生じるため、資料作成・メールの返信が難しい場合がある
- 計算や図、グラフの読み解きが難しい場合がある
- 時計が読めずにスケジュール管理が難しい場合がある
- 口頭での説明をメモすることが難しい場合がある
上記はあくまでも一例に過ぎません。自身の学習障害の特性によっては他にもできない業務があったり、該当しない分野であれば問題なく業務を遂行できたりすることもあります。
つまり、自分の学習障害を深く理解することで、仕事上の困りごとが明確になり、学習障害があることを強みとして生かせることにもつながります。
LD(学習障害)の方が仕事で生かせる強みはある?
学習障害のある方は、読み書きや計算が苦手でも他のことに秀でているケースが少なくありません。例えば、文字を読むのが苦手な読字障害(ディスレクシア)のある方は、視空間能力(空間認識力)が高い傾向にあることが報告されています。視空間能力とは、空間における物体の大きさや形、位置等を理解し、記憶する能力のことです。
他にも読字障害(ディスレクシア)のある方は、過去の経験をもとに未来を予測する能力や、様々な情報から法則や類似性を見つける能力にたけていると言われています。実際、このような能力を生かして芸術や建築といった分野で多くの読字障害(ディスレクシア)のある方が活躍しています。
【特徴別】LD(学習障害)のある方におすすめの仕事は?
では、具体的に学習障害のある方にはどのような仕事が向いているのでしょうか。ここでは学習障害の特徴別(読字障害・書字障害・算数障害)に、おすすめの仕事をご紹介します。
なお、人ごとに障害の特徴や程度は異なります。また、仕事の向き・不向きは個人の興味や関心、ADHD(注意欠如・多動性障害)やASD(自閉スペクトラム症)を併発しているかどうかなども関係してくるため、必ずしも当ページ内に書かれている仕事が向いているとは限りません。あくまでもより良い仕事先を見つけるための参考程度とお考えください。
読字障害のある方に向いている仕事
読字障害(ディスレクシア)で視空間能力が高い場合、創作系の現場仕事が向いている可能性があります。文字を認識・理解するのが難しくても絵や図を描くのが得意なら、建築士やグラフィックデザイナー等での活躍が期待できます。また、彫刻家やイラストレーター、カメラマンといった非言語中心の仕事もおすすめです。
物事を多角的な視点で見たり、今後を予測したりするのが得意であれば、その強みを生かしてトレーダーや投資家等になって活躍する可能性もあります。他にもストーリーを構築する力を生かして、脚本家や映画・アニメ制作の現場でビジネスチャンスを見つけられるかもしれません。
書字障害のある方に向いている仕事
書字障害(ディスグラフィア)とは、文字を自分の手で書くことに困難がある学習障害のことです。しかし、パソコン等のデジタルデバイスを用いて文字を出力すればスムーズに仕事をこなせる方が多いです。したがって、人によってはパソコンをメインに扱うITエンジニア(プログラミング)やデータ入力等のオフィス仕事が向いている場合があります。
もちろん文字を書く必要があまりない職業も書字障害(ディスグラフィア)のある方に適しています。例えば、大工や電気工等の現場仕事、食品や機械部品を扱う工場での軽作業などが挙げられます。
算数障害のある方に向いている仕事
算数障害(ディスカリキュリア)とは、数字の認識や計算、推論等の理解が難しい学習障害のことです。算数障害のある方はスケジュールを組んだり、計算したりする作業に困難を示すことが多いですが、数字を使用しない領域の仕事や電卓を使った計算業務であれば、問題なくこなせるケースが多いです。例えば、工場での軽作業や配達ドライバー等は、体で覚える仕事のためおすすめです。
また、算数障害のある方のなかには、読字障害と同様にクリエイティブなことに秀でている方もいます。その場合には、デザイナーやイラストレーター等の職業が向いている可能性があります。他にも料理の味付けや盛り付けで感性を表現できるシェフ(料理人)も算数障害のある方に適した職業と言えるでしょう。
LD(学習障害)のある方が仕事を探すときの4つのポイント
学習障害で特定の分野に困難があっても、ご自身に合う仕事を見つけることは可能です。働きやすい職場に就職できるよう、仕事探しをするときには以下の4つのポイントを押さえておきましょう。
1. 自分が得意なこと・苦手なことを知っておく
まずは、自身の得意なことと苦手なことを把握しましょう。強みや弱みなどの理解を深めることは、就職後に「この仕事は自分に合わない」といった仕事のミスマッチを防ぐために必要です。
さらに得意なことを知っていれば仕事の選択肢が増やせ、苦手なことを理解しておけば、就職時にどのような配慮をしてもらいたいかを具体的に伝えられるので、ストレスの少ない職場へ就職できる可能性が高まります。
2. 支援サービス・相談窓口があることを知っておく
ご自身に合った仕事を探すことは、学習障害の有無にかかわらず大変です。しかし、学習障害のある方には、就職活動時に利用できる支援サービスや相談窓口があります。例えば、以下のような公的支援サービスがあり、就職に関する悩みや困りごとに対応してくれます。
▼公的支援
- 障害者職業・生活支援センター
- 地域若者サポートステーション(在学生は利用できませんのでご注意ください)
上記以外にもハローワークや就労移行支援事業所で就職活動の相談を受け付けています。ハローワークには障害について専門的な知識を持つ相談員がいる専門窓口があり、障害者手帳を持たない方でも利用可能です。
一方、就労移行支援とは働くために必要な知識と能力を高める障害福祉サービスのひとつです。働くために必要な知識と能力を高める場所である就労移行支援事業所では、利用者一人ひとりに合わせた就職サポートを行っています。また、就労移行支援事業所の中には、就職後も働き続けられるように職場定着支援を行っている事業所もあります。
なお、就労移行支援に関しては18歳以上の方が利用対象となります。また大学を在学中の場合も利用条件がありますので、サービスを受ける際は注意が必要となります。
3. 働きやすい環境があることを知っておく
学習障害のある方が仕事を探す場合、周りの人のサポートが必要不可欠です。学習障害は見た目ではわかりません。そのため、自分の障害について詳しく説明せずに就職してしまうと、障害を正しく理解してもらえずに「やる気がない」「ミスが多い」といったネガティブな評価をされてしまう可能性があります。このような事態を避けるためには、学習障害のある方にとって働きやすい環境があることを知っておくことが大切です。
具体的には、就労継続支援、特例子会社、障害者向けサテライトオフィスといった障害のある方が合理的な配慮を受けながら働けるところです。
就労継続支援とは、障害や病気によって一般企業等での就職が困難な方をサポートする障害福祉サービスです。作業所で自分のペースで働きながら、働く準備をしたり、仕事に役立つ訓練を行ったりします。
特例子会社は、障害者が働く機会を増やすために設立された障害者の雇用に特化した子会社のことです。障害のある方が働きやすい就業規則や環境が整っており、合理的配慮を受けながら安定した雇用が見込めます。
障害者向けサテライトオフィスとは、自社オフィスではなく、障害者が働くことを前提として環境が整えられた、別の企業が管理するオフィスのことです。障害者向けサテライトオフィスには障害に関する専門知識を持った支援員が駐在しており、適切な配慮が受けられるとともに柔軟な働き方ができます。
4. 障害者雇用枠を選択できる可能性があると知っておく
学習障害は発達障害に該当するため、基準を満たしている場合には「精神障害者保健福祉手帳」の交付を受けられます。そのため、学習障害のある方で障害者手帳を持っている場合には「障害者雇用枠」での就職活動も検討しましょう。障害者雇用枠で就職すれば、業務上のサポートや業務内容・勤務時間の変更等、障害者に対する合理的配慮を受けられます。
就職活動中の学生
(高校3年、大学4年生)のみなさんへ
私たちウェルビーはうつ病や発達障害等の人のための就労移行事業所です。
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まとめ
学習障害のある方が仕事を探す場合、自身の障害の特徴や得意なこと・不得意なことを把握し、自身に合った職種や職場を見つけることが重要です。また、無理なく働き続けるために、学習障害のある方の就職を支援するサービスや相談窓口、就労継続支援や特例子会社といった働きやすい環境があることを知っておくことも大切です。このような支援サービスを利用することで、ストレスを感じにくい職場へ就職できる可能性が高まります。
就職活動に悩んでいる学習障害のある学生の方等は、この機会に様々な支援サービスをご利用してみてはいかがでしょうか。
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