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大学生の発達障害|安心して通える大学の選び方や、よくある困りごとと対処法

大学生の発達障害|安心して通える大学の選び方や、
よくある困りごとと対処法

発達障害のある学生が安心して大学進学や大学生活を送るには、進学や大学生活において発達障害によって起こり得る困りごとや悩みごとを知り、その対処法を把握しておくことが大切です。また、大学生活の中で困りごとや悩みごとを抱えた際に相談する場所や頼れる専門機関を知っておくことも重要です。
そこでこの記事では、発達障害のある高校生や大学生、さらには大学生活を送る中で「もしかして自分は発達障害?」と感じる学生へ向けて、安心して通える大学の選び方や大学生活によくある困りごととその対処法等について解説します。

発達障害のある大学生の割合はどれくらい?

日本学生支援機構の調査によると、2022年度の全国の大学、短期大学および高等専門学校の学生のうち何らかの障害のある学生は49,672人で、障害学生の在籍率は1.53%でした。さらに障害種別で見ると「精神障害」の学生が15,787人(31.8%)で最も多く、次いで「病弱・虚弱」の学生が 13,529 人(27.2%)、そして「発達障害」の学生が10,288人(20.7%)と3番目に多いことがわかりました。

また、総務省の調査によると発達障害のある大学生の人数は2012年度が1,573人、2018年度が5,063人に対し、2022年度が10,288人と発達障害のある大学生が増加していることがわかります。ただし、これらの調査は大学在学中の学生を対象にしており、実際にはもっと多くの発達障害の大学生がいる可能性があります。

出典:JASSO: 独立行政法人日本学生支援機構|「令和 4年度(2022年度)大学、短期大学及び高等専門学校における 障害のある学生の修学支援に関する実態調査」結果の概要について

出典:厚生労働省「障害のある学生等に対する大学の支援に関する調査-発達障害を中心として-」結果報告書

発達障害でも安心して通える大学の選び方はある?

発達障害のある高校生が安心して大学に通うためには、志望校選びが重要です。具体的には、以下3つのポイントを考慮して慎重に志望校を決めましょう。

受け入れ体制の整っている大学を選ぶ

極端な話、大学は発達障害の有無に関係なく、入学試験に合格すれば誰でも入れます。しかし、発達障害のある大学生は「発達障害に対する理解がなかなか得られない」等の理由から退学の道を選ぶケースが少なくありません。そのような事態を防ぐためにも、発達障害のある学生に対して寛容な大学を選ぶことが重要です。

日本では障害者差別解消法が改正され、2024年4月から国公立、私立を問わず、すべての大学・短期大学・高等専門学校で、障害のある方への合理的配慮が義務付けられました。合理的配慮とは、障害のある方が教育を受ける権利を行使できるように、大学側が無理のない範囲で必要に応じて授業や試験等の変更や調整を行うことです。

大学によっては自校が実施している合理的配慮について「障害のある学生への支援」等の名称で、ホームページに掲載しています。または専用窓口を設けているところもあります。まずは、志望校が実施しているサポートや支援等について詳しく調べてみましょう。

出典:文部科学省|障害のある学生の修学支援に関する検討会報告(第三次まとめ)について

【例】大学が実施するサポート・支援

大学が実施している発達障害のある学生への合理的配慮やサポートには様々なものがあります。ここでは総務省の資料から、大学が実施している発達障害のある学生へのサポートの一例をご紹介します。

  • 発達障害のある受験生への事前相談
  • 入学試験や定期試験の時間延長、別室試験措置
  • 教員への配慮依頼文書の配布
  • ICレコーダーによる授業録音や板書の写真撮影許可
  • レポート等の提出物の期限延長
  • 発達障害のある学生向けの就職支援 等

大学によっては入学試験、在学中、就職活動といったように段階別に細かな配慮がなされています。志望校を選ぶ際は必ず大学が実施しているサポートや支援について確認しましょう。

出典:総務省「障害のある学生等に対する大学の支援に関する調査-発達障害を中心として-」結果報告書
総務省|報道資料「障害のある学生等に対する大学の支援に関する調査-発達障害を中心として-」調査結果に基づく改善通知、公表 ※P4~

偏差値的に余裕のある大学を選ぶ

発達障害の特徴や程度によっては、あえて学力レベルに余裕のある大学を選ぶことも検討してみましょう。発達障害のある学生が入学試験でギリギリ合格したような大学に進学すると、授業についていくのが困難になったり、ほかの学生と比べて落ち込んだりする可能性があります。
しかし、自身の学力から見て比較的余裕のある大学を選べば、授業についていく等のプレッシャーが軽減でき、充実した学生生活が送れる可能性が高まります。

自身の特徴に合った大学を選ぶ

発達障害は人によって特徴が大きく異なり、こだわるポイントや得意・不得意な分野も人それぞれです。そのため、自身の特徴に合った大学を選ぶことは非常に大切です。
例えば、卒論は計画性と臨機応変さの両方が求められるので、スケジュール管理が苦手な方は卒論のない大学や学部・学科を選ぶとよいでしょう。
また、「人とのコミュニケーションは苦手だが、通学は一人でできる」といった方なら、評価において出席に重きを置いている大学が適しています。できることとできないことを冷静に見極め、発達障害の特徴に合った大学を選べば、卒業まで無理なく学生生活を送れるでしょう。

発達障害の大学生によくある困りごとと対処法

発達障害のある高校生や大学生は、学校生活において通学や授業等で困難に直面することが少なくありません。こうした困難を乗り越えるには、自身に合った対処法を見つけることが重要です。ここでは発達障害の大学生の代表的な困りごととその対処法の一例をご紹介します。

発達障害のある高校生が抱えやすい悩みごととその対処方法

出席日数が足りなくなる

以下のような理由から通学や登校が難しくなり、出席日数が足りなくなることに頭を抱える発達障害の大学生は多いです。

  • 朝起きられず授業に遅刻してしまう
  • 大学までの通学距離が長く、間に合わない
  • 大学生活になじめず、行きたくなくなる

それぞれの対処法は以下のとおりです。

朝起きられず授業に遅刻する

発達障害のある方は睡眠障害を併存している傾向が高く、朝起きられずに授業に遅刻する大学生も多いです。また、ADHD(注意欠如・多動性障害)の学生の場合、不注意や多動性、衝動性の影響によって遅刻しやすい傾向があります。このような場合には、まず午前の授業をなるべく避け、午後から始まる授業を選択しましょう。必修科目が午前中にある場合は難しいですが、選択科目や自由科目ならある程度の調整が可能です。
さらに、起床から授業開始までの時間を計算し、ゆとりを持った行動計画を立てることも大切です。毎朝のルーティンを決めたり、タイマーアプリを活用したりするとより時間の管理がしやすくなります。

自宅から大学まで遠くて間に合わない

長時間の通学は発達障害のある学生にとって大きな負担です。どのような発達障害の特徴を持っているかにもよりますが、ある程度自立が可能な方なら、大学近くでの一人暮らしを検討してみましょう。発達障害のある学生が一人暮らしをすることは様々な課題もありますが、大学時代から自立する訓練をしていれば、社会に出たときに大きな自信に繋がります。

学校生活になじめず、行きたくなくなる

入学直後は、新しい環境に戸惑いを感じ、授業に出られなくなる学生もいます。このような場合、まずは焦らず、落ち着いて大学生活に慣れることを最優先しましょう。場合によっては履修する授業の数を減らしたり、出席重視ではなく試験で単位を取れる授業を選んだり、自身に合った方法を見つけることが大切です。

レポートを提出できない

レポート作成は、発達障害のある学生にとって単位にかかわる大きな悩みごとです。具体的には、以下のような点に困難を感じる方がいます。

  • レポート課題の内容を忘れてしまう
  • 文章を書くのが難しい
  • 期限までにレポートを仕上げられない

レポート課題の内容を忘れてしまう

レポート課題の内容や提出期限日を忘れてしまう場合には、レコーダーやカメラを活用して課題内容を記録しましょう。また、教員や学生支援の職員と相談することで、課題内容をプリントで提示してもらえる可能性があります。

文章を書くのが難しい

発達障害により、長文のレポートを書くことが難しい場合には教員や学生支援の職員に口頭試験や課題内容の変更ができないか相談してみましょう。また、書くこと自体が苦手な方は、文字起こしソフトの使用許可等を打診してみましょう。

スケジュール管理ができず、レポートの作成が間に合わない

発達障害のある学生の困りごとには「スケジュールを組むこと自体が難しいのでレポートの作成が間に合わない」ということもあります。
基本的な対策としては、学生支援の職員や友人等に計画立てを手伝ってもらい、提出期限から逆算してスケジュールを組み、カレンダー等に書いて可視化します。このとき「○日までに教科書を読む」「○日までにメモを清書してレポートを作成する」等、細かいステップに分けると取り組みやすくなります。

実習や実験、グループディスカッションに参加できない

発達障害のある学生の中には、実習や実験、グループディスカッション等「他者とかかわる授業」に適応できない方もいます。このような授業は聞かれたことにうまく答えられなかったり、周囲の反応が気になって集中できなかったりと、多くのストレスを抱えてしまう原因にもなります。
対処法としては、まず学生支援窓口に相談し、対人関係の気になることや不安なことを聞いてもらいましょう。言葉にすることによって気持ちが楽になり、授業にも落ち着いて参加できるかもしれません。また、具体的に「何に困っているか」を整理し、教員やグループ内の仲間に伝えれば、周囲からの助けも得やすくなります。

学生生活を安心して送るためのポイントは「相談する」こと

発達障害のある学生が充実した大学生活を送るためには、自身に合ったサポートを受けるべく、積極的に相談すること、頼ることが重要です。
では、具体的にどのようなところへ相談すればよいのでしょうか。ここからは、大学生活における相談窓口をご紹介します。

  • 全国の支援機関一覧

    適切に公共の相談窓口や支援機関を利用する・頼ることで、悩みや困りごとが解決する一歩になるかもしれません。ひとりで考え込まず、誰かに相談してみませんか?

大学に相談する

発達障害の特徴や程度は一人ひとり違うので、大学から必要なサポートを得たいならまずは大学の支援窓口に相談しましょう。このような支援窓口では大学生活での困りごとを気軽に相談でき、大学側が負担の重すぎない範囲で様々な工夫やサポートを提供してくれます。
大学によっては大学生の発達障害に詳しいカウンセラーが常駐しているところもあり、入学前から相談できるケースもあります。

大学以外の支援窓口に相談する

何らかの理由で大学に相談できない場合、あるいは相談しても適切な対応を得られなかった場合には、以下のような専門機関を活用しましょう。

  • 発達障害者支援センター
  • 精神保健福祉センター
  • その他の相談窓口

発達障害者支援センター

発達障害者支援センターは、発達障害のある方の総合的な支援を行っている専門機関です。学校や日常生活、就労に関する相談に応じてもらえ、相談内容によっては関係機関と連携して環境の調整等を行うこともあります。発達障害者支援センターは各都道府県と政令指定都市に設置されており、原則お住まいの都道府県・政令指定都市の発達障害者支援センターのみ相談が可能です。

精神保健福祉センター

精神保健福祉センターは、各都道府県と政令指定都市に設置されている専門機関です。発達障害がきっかけのうつ病等の相談以外に、学業や対人関係、生活に関する心の悩み、「自分は発達障害かもしれない」といった内容についても相談ができます。多くのセンターでは、対面だけでなく匿名での電話相談も行っています。

その他の相談窓口

ほかにも「障害者就業・生活支援センター」等、発達障害に関連する悩みを相談できる窓口は様々あります。
活動内容やご自身の行動範囲等を考慮して、「安心できる」と感じられるところへ相談してみましょう。

発達障害のある大学生の就職活動はどうすればいい?

発達障害のある学生もほかの学生と同様に就職活動ができます。しかし、就職活動に苦痛や悩みを抱える方は少なくありません。そのような場合には、障害福祉サービスである「就労移行支援」の利用を検討してみましょう。就労移行支援とは、障害のある方を対象に「働く」のに必要な知識や能力を高める場所です。就労移行支援では、自身のペースで学習ができ、利用中に仕事に必要な国家資格等を取得する方もいます。

大学生が就労移行支援を利用する際の条件や注意点は、以下の記事でさらに詳しく解説しているのでご覧ください。また、発達障害や精神疾患のある学生の就職活動事例をまとめた記事もあるので、ぜひご参考にしてください。

まとめ

2024年4月から国公立、私立を問わず、すべての大学で障害のある方への合理的配慮が義務付けられました。したがって発達障害のある学生は、大学の相談窓口等に相談することで入学試験の段階から大学側の負担が重すぎない範囲で支援やサポートが受けられます。そして、発達障害のある方が安心して学生生活を送るためには、ご自身にどのような特徴があるかを知り、適切な機関に相談することが大切になります。

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