就職活動中・就職後に活用できる支援機関

就職活動ガイド

障害者の就職活動

障害のある方は、その障害の特性を理解したうえで就職活動を行うことが非常に重要です。なぜなら、選んだ仕事がその人の障害特性に合っていない場合、何らかの問題により仕事を続けることが難しくなる場合があるからです。
特性をきちんと理解したうえで仕事を決めれば、ミスマッチの可能性は低くなります。あらかじめ職場側に特性に応じた配慮を要請しておくことも可能ですし、問題が起こった際、素早く環境改善を図る対応ができます。自身の特性をよく把握しておくことで、調子が悪くなった際にコントロールすることも可能です。
しかしながら、自身の障害特性をきちんと把握することは難しいことです。特性を理解していないために対応ができず、退職に至ってしまうケースも多く見られます。そのため、第三者である支援機関に障害特性を客観的に評価してもらうことが大切です。特性の把握と自身のコントロール方法の訓練、能力や状況に応じた適切な職場研究を行いながら、自身に合った仕事を見つけていくことが重要です。

  

職場定着支援

支援機関の大きな役割の一つに、職場定着支援があります。職場定着支援とは、障害者が安心して長く働けるために、就労移行支援事業所などの支援機関が就職後に実施する支援をいいます。本人だけでなく職場側とも定期的にコンタクトを取り、就職後の人間関係や職場環境での潜在的な問題点を探り、トラブルの未然防止や解決のための相談といった橋渡し的な支援を行います。 障害特性によって職場定着のための課題は異なり、また、会社の採用担当者や職場の同僚や上司など、企業側の経験や知識が十分でない場合も多いことから、職場定着支援は非常に重要な支援の一つだといわれています。

定着支援の方法


※ウェルビー「マンガでわかる!就労移行支援 vol.1」9ページ目
  

支援機関とは

障害者支援の分野での支援機関とは、障害者を応援し支え助ける(サポートする)組織をいいます。
支援機関には、公的なものや社会福祉法人、NPO法人、株式会社などの組織があり、障害者の生活から就労まで様々な種類のサポートを行います。この中で、特に就職活動中や就職後に活用できる支援機関としては、障害者就業・生活支援センター、障害者就労支援センター、ハローワーク、就労移行支援事業所、地域障害者職業センターなどがあります。

ポイント

専門的知識とノウハウを持った支援機関による職場定着支援を活用しましょう!

  

障害者就労支援センター

障害者の一般就労の機会を広げ、安心して働き続けられるために、就労面と生活面の支援を一体的に行うことを目的に活動している支援機関です。
障害者就労支援センターには、「障害者就業・生活支援センター事業」および「市区町村障害者就労支援事業」があります。

障害者就業・生活支援センター
障害者の身近な地域において、雇用、保健福祉、教育などの関係機関の連携拠点となる施設です。利用者の就業面と生活面における一体的な相談支援を実施します。
就業と、それに伴う日常生活上の支援を必要とする障害者に対し、センター窓口での相談だけでなく、職場や家庭訪問等も行います。支援内容としては、就職に向けた準備支援(職業準備訓練、職場実習のあっせん)、就職活動の支援、職場定着支援があります。職場定着支援では、障害者それぞれの特性を踏まえた配慮について、事業者側に対し助言を行います。
さらに、生活習慣の形成、健康管理、金銭管理など日常生活の自己管理に関する助言、住居・年金・余暇活動など地域生活や生活設計に関する助言など、就業面と生活面における一体的な支援を行うのが特徴です。

障害者就労支援センター(市区町村障害者就労支援事業)
障害者の就労機会の拡大を図るために、地域で一番身近な市区町村が設置する支援施設です。
障害者の職業相談、就職準備支援、職場開拓、職場実習支援、職場定着支援などを行ない、障害者就労支援の最前線窓口といえる支援機関です。
職業相談では、本人やその家族、事業者などからの就労全般に関する相談に対応しています。仕事を辞める時や辞めた時の支援も行います。就職準備支援では、利用者の適性などを把握し、就労意欲や職業能力を高めるなど、就職に向けた支援を行います。 職場開拓では、利用者とハローワークへの同行をはじめ、独自の職場開拓も行っており、利用者の求職活動を支援します。
職場実習支援では、利用者が職場に慣れることを目的とした職場見学、職場実習を行うとともに、事業者側に利用者に対する理解を求めながら職場環境の調整を行う支援を行います。
職場定着支援では、就職後の不安や悩みを解消するための相談支援を行います。また、事業所を訪問して必要な助言や調整を行い、職場環境の改善を働きかけます。

ハローワーク(公共職業安定所)

就職を希望する障害者の求職登録を行い、専門職員や職業相談員が相談に応じます。相談はケースワーク方式で、障害の種類や程度に応じた職業相談と求人紹介を行います。また、就職後の職場定着指導を実施します。
職業相談により適切な方向性の検討など職業探しの手助けを行うとともに、必要に応じ公共職業訓練のあっせんを行います。職業紹介においては、トライアル雇用、ジョブコーチ支援等の各種支援策も活用します。また、障害者を雇用している事業者、雇い入れようとしている事業者に対し、雇用管理上の配慮等についての助言を行い、必要に応じて地域障害者職業センター等の専門機関の紹介を行っています。また、職業マッチングの観点から、求人者と求職者が一堂に会する就職面接会も開催しています。
さらに、事業者に直接アプローチし、障害者向け求人の開拓を行うとともに、ハローワークの一般求人の中から、障害者に適したものについては障害者求人への転換を勧めるなど、求人の確保に努めています。


詳しくは≫ハローワークの活用方法をご覧ください。

トライアル雇用とは
障害者に関する知識や雇用経験がない事業所が障害者を試行的に雇用する制度で、多くの障害者が利用しています。
企業が障害者を原則3か月間の試用期間にて雇用し、企業側と求職者側が相互に適性を判断した後、両者が合意すれば本採用が決まります。ハローワークの紹介など、一定要件を満たすことが必要となります。
企業にとっては求職者の適性をじっくり検討でき、本採用とならなくてもトライアル雇用期間中の奨励金を受け取れるメリットがあります。また、求職者にとっても適切な配慮の下で働きながら、長く続けられる環境かどうかを考えられるメリットがあります。


就労移行支援事業

就労移行支援とは、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスのうちの一つです。一般企業等への就労を希望する18歳以上65歳未満の障害を有する方に対して、就労のために必要な支援を行います。
主な支援内容は、就労に必要な知識習得の支援、能力向上のために必要な訓練、求職活動における支援、適性に応じた職場の開拓、就職後の職場定着支援、などがあります。

  
  
ポイント就労移行支援事業所 ウェルビーの特徴


ウェルビーでは、パソコン、コミュニケーション、グループワーク、ソーシャルスキルトレーニング(SST)、ビジネスマナー、ベーシックトレーニング(軽作業)、就職活動などの各種プログラムを通して、就職に必要なスキルアップのトレーニングを行います。あわせて、自身の障害特性の理解を深め、場面ごとの対応やコントロール方法を学びます。そして、特性に応じた適切な職業研究、職場研究を行いながら、自身に合った仕事を見つけていきます。
もちろん、障害者にとって就職がゴールではありません。むしろ、就職してからがスタートといえます。就労移行支援事業所は、就職後の職場定着支援により、長く職場で働ける環境の整備をお手伝いします。就職後は様々な問題が生じるものですが、それらを一つ一つ親身になって相談し、一緒に解決していきます。


職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業

地域障害者職業センター(運営は独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)が実施する障害者雇用支援事業です。センターは全国47都道府県に設置され、ハローワークとも密接に連携しています。
障害者一人ひとりのニーズに応じて、職業評価、職業指導、職業準備訓練及び職場適応援助者(ジョブコーチ)支援等の各種職業リハビリテーションを実施します。さらに、事業者に対し雇用管理上の課題分析を行い、雇用管理に関する専門的な助言などの支援を実施します。
職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業では、障害者の円滑な就職及び職場適応を図るため、雇用の前後を通じ事業所にジョブコーチを派遣し、障害者及び事業者に対し、本人の障害特性を踏まえた直接的、専門的な支援を実施します。特に、知的障害者や精神障害者など職場での適応に課題を有する障害者に対し、ジョブコーチのきめ細かな人的支援により、職場定着が図られています。

  
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