障害者手帳

就職活動ガイド

障害者手帳とは

障害者手帳とは、障害を有する人に対して発行される手帳の総称をいい、身体障害者手帳、療育手帳(知的障害者用)、精神障害者保健福祉手帳の三種類に分けられます。障害者手帳の発行主体は都道府県、政令指定都市です(中核市の場合あり)。
2012年6月、障害者自立支援法に代わる法律として「障害者総合支援法」が交付されました。従来のような“障害の重さ”ではなく、“必要とする支援の程度”に認定の基準が変更され、この基準に基づき手帳が発行されるようになりました。

障害者手帳の種類

身体、知的、精神の各障害に応じた手帳が交付されます。身体+精神のように、三障害のうち複数を有する場合はそれぞれの手帳の交付を受けることが出来ます。(療育手帳と精神障害者保健福祉手帳の組み合わせは、いずれか一方となるケースが多いようです。)

身体障害者手帳

身体障害者手帳は「身体障害者福祉法」に基づき、視覚、聴覚、平行機能、音声・言語そしゃく機能、肢体不自由、心臓・腎臓・呼吸器・膀胱または直腸・小腸・免疫機能に障害のある方に交付されます。手帳の等級は障害の程度により、一級から六級までの区分(最重度が一級)があります。(七級もありますが、二つ以上重複している場合に限られます。)

療育手帳

療育手帳は厚生省(当時)通知「療育手帳制度の実施について」に基づき、知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に支障が生じていることによりなんらかの援助を必要とする状態にある方に交付されます。18歳未満は児童相談所の、18歳以上は知的障害者更正相談所の判定によります。手帳の等級は障害の程度により、一度(最重度)、二度(重度)、三度(中度)、四度(軽度)、の区分があります。

精神障害者保健福祉手帳

精神障害者保健福祉手帳は「精神保健および精神障害者保健福祉に関する法律」に基づき、精神疾患を有する方のうち、精神障害のため長期に渡り日常生活または社会生活への制約がある方に交付されます。統合失調症、躁鬱病、非定型精神病、てんかん、中毒性精神病、器質性精神病および、その他の精神疾患のすべてが対象になりますが知的障害は含まれません。
手帳の等級は障害の程度により一級から三級の区分(最重度が一級)があります。
なお、精神障害者保健福祉手帳は身体障害者手帳や療育手帳と異なり、手帳表紙の記載が「障害者手帳」となっています。

障害者手帳件数

障害者手帳の所持者数については、平成23年に厚生労働省が実施した「生活のしづらさなどに関する調査」に以下の結果として記載されています。

※内閣府「平成27年版 障害者白書」より引用

障害者手帳の取得と更新

身体障害者手帳

所定の申請書を作成し、医師の診断書を添付して、市区町村の福祉事務所に申請します。通常、福祉事務所は役所に併設されており、「障害福祉課」「健康センター」などと表記しています。
身体障害者手帳には更新義務がありません。一度認定を受けるとずっと使い続けることができます。
ただし、乳幼児期に認定を受けた場合や、指定医から必要と認められた場合には、再認定手続きを要請されます。

療育手帳

所定の申請書を作成し、医師の診断書を添付して市区町村の福祉事務所に申請します。通常、福祉事務所は役所に併設されており、「障害福祉課」「健康センター」などと表記しています。
療育手帳は交付する自治体によって名称が異なります(愛の手帳、みどりの手帳、愛護手帳など)。これは手帳の交付に根拠法がなく、都道府県や自治体に交付の裁量が与えられていることが要因です。
療育手帳には有効期限があり、数年ごとに再認定を受けて手帳の更新を行う必要があります。更新期間は、年齢や障害程度によって異なります。

精神障害者保健福祉手帳

所定の申請書を作成し、医師の診断書を添付して、市区町村の福祉事務所に申請します。通常、福祉事務所は役所に併設されており、「障害福祉課」「健康センター」などと表記しています。ただし、申請窓口が「保健所」の場合がありますので、事前に行政への確認が必要です。
精神障害者保健福祉手帳には有効期限があり、2年ごとに更新しなければなりません。医師の診断を受けたうえで更新の申請をし、審査の結果、支給の可否、等級が決定されます。

発達障害者の障害者手帳

発達障害者専用の障害者手帳はありません。発達障害(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害等)の場合、通常、精神障害者保健福祉手帳が交付されます。
知的障害がある方には療育手帳が交付されますが、知的障害でないと判定された場合(通常、自治体が定めたIQ値以上の場合)の発達障害者にも療育手帳を交付している自治体もあり、自治体によって交付基準がいまだ統一されていないのが実情です。

<メリット>

●所得税、住民税等の税優遇措置や公共料金の優遇
●交通機関や公共施設での料金の優遇
●要件を満たせば障害年金の受給が可能
●福祉サービスの利用が可能
●就職にあたり、障害者雇用枠での応募が可能
●努力不足と思って(思われて)いたことが、障害が原因と認定されることによる心理的ストレスの開放

<デメリット>

●「障害者」として認定されることへの抵抗感
●家族や周囲から理解を得られない(不理解や差別等)ことへの心理的ストレス
●職場における昇進や待遇面での制約

このように、障害者手帳を取得することにはメリットとデメリットが存在します。これらをよく理解したうえで取得の是非を検討することが重要だといえます。 なお、取得した手帳は本人の意思で返還することができます。

ウェルビーの手帳に対するスタンス

ウェルビーでは、障害者手帳の取得の是非をご本人の意思に任せています。無理にどちらかを勧めても良い結果につながらないと考えているからです。一人一人の個別事情を考慮し、ご本人の希望を踏まえながら、一番良い選択を一緒に考えていきます。
手帳を取得する、しない、については、まずそのメリット・デメリットをよく考えることが重要です。そのうえでご本人の意思を尊重しながら、ご家族や他の支援者、支援機関とも相談し、状況を総合的に考え、判断していきます。勿論、最終的に決めるのはご本人です。
手帳を取得せずに、障害を公表せずクローズでの就職を選択される方もいますし、取得して障害者枠での就職を選ぶ方もいます。クローズの場合、就職活動中や就職後にご本人が頑張らなくてはいけない部分が多少増えますが、基本的にウェルビーは、手帳の有無にかかわらず、ご本人の自立に向け、就職活動中も就職後も全力で支援させていただきます。

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